求めていた理想は「自らの手による医療」/鍼灸師:足立 繁久

努力のベクトルを自分ではなく他の人に向けたときに、苦手を克服した気がします

ご自身で苦手やけど努力してきたな、と自負されることはありますか?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
まあ、経営ですよね(笑)。
あと、人前で話すのも、外に出るのも苦手ですよ。
意外! 人前で話しまくってらっしゃるのに。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
苦手に直面しないといけないときって、人生でざらにありますよね。
そういうとき、「自分のために」と思うと妥協しちゃうというか、「ここまでやったけど、まあいいか」ってなるんですけど。
あー(すごく共感)。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
馬場先生のもとで、自分が講師として勉強会を開催したときに、「周りのために、苦手やけどちゃんとやっておこう」とか「次の世代のために、あんまり詳しくないけど勉強して教えられるようになっておこう」って考えられるようになったんですよね。
たぶん自分のためやと、そんなにがんばれなくて。
人間の「努力の根っこ」「努力の原動力」って、そのへんにあるんじゃないかなと思っています。
その考え方に至った、1番はじめのきっかけって何ですか?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
馬場先生が出版されたときですね。
本について情報を拡散しよう! ってがんばって。
ぼくそんなタイプじゃなかったんですけど(笑)。
先生のためなら一肌脱ごうとなったのですね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
馬場先生の勉強会を引き継ぐときも、わざわざ時間を割いて、お金を払ってくれる人たちのために、何を残せるだろうかと、考えるようになりました。
努力の方向が他の人に向いたんですね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そうそう。あと、自分で「鍼道五経会」という勉強会を自ら開催することになって、来てくださっている先生方が、安心して講座を受けてもらえるためにはどうしたらいいんだろう、と考えるようになったもの大きいです。
安心というのは?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
メジャーな勉強会やったら「○○の勉強会に行ってきてん!」って言えるじゃないですか。
特に大きな流派だと声を大きくして。
でも、ぼくの勉強会はマイナーなので声を大にして言いにくいと思うんです。
「ゴニョゴニョ行ってきてん」みたいな(笑)。
ゴニョゴニョ(笑)。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
でも、安心して、自信を持って話してもらえる会にするべきやな、と思ったんです。
ぼく出不精やし、人の前で話すの嫌いやし、知らん人と話するのも、ほんま苦手なんですよ。
学会って「嫌」そのものじゃないですか(笑)。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そうですよ!
人前で話するたびにドキドキして、寿命縮むわ〜って思ってますよ(笑)。
でも、日本伝統鍼灸学会の金沢大会の際は、金沢大学附属病院漢方医学科の小川恵子先生からご連絡をいただき、大阪大会の際は、利川鉄漢先生からご連絡をいただいてね。
自分がすごい! と思っている先生方から直接オファーをいただけるのは大変光栄なことやなと思って、登壇させていただいたんです。
足立先生のなさっていることへの評価ですものね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
加えて、自分の勉強会に来てくれている先生たちの、信頼や自信に繋がったり、いつか自分も登壇したい! と思うきっかけになったりできたらなあ、と。
おぼろげながらも、自分の活動をとおして、彼らの理想の鍼灸師像になれたらいいな、と思って努力しています。
それがなかったら、ずっと河内長野で引きこもってますわ(笑)。

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