臨床に還元するのが研究者の役目です/鍼灸師:松浦 悠人

鍼灸の効果をいかに科学的に裏づけるのか――。

うつ病の分野で現在、鍼の研究を進めているのが、松浦 悠人(まつうら ゆうと)先生です。
経絡治療を行う父のもとに生まれた松浦先生が現代鍼灸の道へと進み、研究に従事するようになったのは、どんなきっかけがあったのでしょうか。

また「臨床家と研究者で、理想的な連携の形がある」と松浦先生は言います。開業鍼灸師がデータを集める際に、気をつけるべき点も含めてお話ししていただきました。

松浦 悠人(まつうら ゆうと)先生

群馬県 高崎市出身
2014年 東京有明医療大学 保健医療学部 鍼灸学科 卒業
2016年 東京有明医療大学大学院 保健医療学研究科 博士前期課程 修了 修士(鍼灸学)
2016年-現在 埼玉医科大学東洋医学科 施設派遣研修生を経て、同 非常勤職員
2019年 東京有明医療大学大学院 保健医療学研究科 博士後期課程 修了 博士(鍼灸学)
2019年-現在 東京有明医療大学 保健医療学部 鍼灸学科 助手

 

ハーバード大学での鍼の研究がきっかけに

偶然ですけど、僕と松浦先生は、同じ年に花田学園のボストン研修旅行に行ってるんですよね。
ゆうすけ
ゆうすけ
松浦先生
松浦先生
インパクトありましたよね。あの研修で研究に興味を持って、大学院に進むことにしたんです。
なかなか研究の現場って行かないですものね。
ゆうすけ
ゆうすけ
松浦先生
松浦先生
シンプルにハーバード大学で鍼の研究をやっているって、それだけでもすごいじゃないですか。あとは、東京有明医療大学大学院保健医療学研究科長、坂井友実教授の影響ですね。大学の卒業研究でご指導いただきました。
東京有明医療大学附属鍼灸センター長の坂井先生。
ツルタ
ツルタ
松浦先生
松浦先生
坂井先生が会長をされている現代医療鍼灸臨床研究会に参加するようになって「現代医療の中に鍼を位置付けるには、やっぱりエビデンスって大事なんだな」っていうのを知りました。

最近の研究テーマは何ですか?
ゆうすけ
ゆうすけ
松浦先生
松浦先生
主なテーマとしては、うつ病とか双極性障害(躁うつ病)を持つ患者さんに対する鍼灸治療の臨床研究をやっています。
「大学院で鍼灸の研究をしたいな」って思っている学生も多いと思うので、研究の苦労話も聞いてみたいです。
タキザワ
タキザワ
松浦先生
松浦先生
それを話し出したら、朝までかかるかもしれませんが、なんでも聞いてください(笑)。

くびの痛みが鍼通電でなくなった

松浦先生はお父さんが鍼灸師なんですよね。鍼治療を受けて育ったんですか。
ゆうすけ
ゆうすけ
松浦先生
松浦先生
経絡治療を受けて育ちました。東京有明医療大学に入学して、鍼通電の存在は初めて知りました…。
お父さんの治療で鍼の効果を感じて、鍼灸師の道に進んだんですね。
タキザワ
タキザワ
松浦先生
松浦先生
はい、小学生の頃からたびたび片頭痛発作みたいなものがあったんですけど、鍼をやってもらうと、すごくよかったんですよね。劇的に効果を感じて、自然と進路は決まりました。
お父さんと同じ経絡治療の道に行こうとは考えなかったんですか。
ゆうすけ
ゆうすけ
松浦先生
松浦先生
大学生のときに、くびをひどく痛めてしまったことがあって、鍼通電療法の臨床と研究を長年続けてこられた坂井先生に相談しました。治療してもらったら、直後に痛みがパッとなくなっちゃったんですよね。

それはすごい。
ゆうすけ
ゆうすけ
松浦先生
松浦先生
父の経絡治療も効いたんですけど、鍼通電は自分にとって得体の知れないものだっただけに「こんなに効くんだ」っていうギャップから、勉強してみたいなと思って。
悩みの質に合致したのが、鍼通電だったのでしょうか。
ゆうすけ
ゆうすけ
松浦先生
松浦先生
そうですね、僕の場合は。もちろん経絡治療も大好きですけど(笑)。

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