日韓交流セミナーが開催されました

2025年8月15日に株式会社メイプル名古屋主催、ドンバンメディカル共催で「日韓交流セミナー|韓医師×日本鍼灸師による実演デモ&対話セッション」が東京都千代田区で開催されました。
概要は「日本と韓国、それぞれの現場で活躍する先生方が、実際の施術を披露しながら鍼灸の共通点と違いを深掘りする」というもの。当日は、会場とオンラインを合わせ約80人が参加しました。
講師は韓医師のイ・スンファン先生(TONG-IN漢方クリニック院長)と鍼灸師の小泉 直照先生(はり処愈鍼・はり処愈鍼ANNEX総院長)が登壇しました。

이 승환(イ・スンファン)先生

小泉 直照(こいずみ なおてる)先生

日韓の「鍼治療」を交互に披露

前半は「治療」をテーマに、それぞれが鍼実技を交互に披露しました。また、日韓の鍼灸治療の特徴についてトークセッションもあり、会場はおおいに盛り上がりました。

先手のイ先生は「よく使う鍼は寸6-8番です」と語り、頸部の痛みが主訴のモデル患者に対し、ストレス(心)や消化器との関連も考慮した総合的な診察をおこないました。
実技に入ると、主に前頸部を目標に、鍼管を使わず鍼柄を持ち、送り込みで切皮と刺入をする刺鍼法を披露し、その鮮やかなテクニックで会場を湧かせました。さらにトーク部分では、鍼治療以外にカッピングや運動療法の指導など、韓国ではさまざまな手段を治療に用いることを説明しました。

後手の小泉先生は「今日は日韓の鍼灸の違いがテーマですが、どちらも鑑別が大事」と、日韓の鍼灸治療の共通点を強調し、肩こりのモデル患者に対し現代医学と伝統医学の手法を用いて鑑別のデモンストレーションをおこないました。
その後は「日本にはいろいろな鍼灸がある」という前提を確認した上で「六部定位脈診は日本鍼灸の特徴です」と語り、脈診で選穴した主訴とは離れた足部の要穴に対して、管鍼法による繊細な刺鍼を披露しました。また、「よく使う鍼の番手は?」という質問に「1番です」と答えました。

日韓の「美容鍼」を交互に披露

後半は「美容鍼」をテーマに、両先生がそれぞれ実技供覧をおこないました。日韓の美容鍼の特徴が浮き彫りになる展開に会場はおおいに盛り上がりました。

先手の小泉先生は「シンプルだけど理屈がある美容鍼」と、少ない鍼数で顔面神経を目標に鍼通電をおこなう美容鍼を日本的な手法として紹介しました。
また、「内出血のネガティブさ」を日本の特徴として挙げ、丁寧な施術と抜鍼時の圧迫の重要性を伝えると、会場の参加者から多くの共感を得ていました。

後手のイ先生は、顔に沢山の鍼を置鍼する美容鍼の実技供覧をおこないました。
韓医師は麻酔クリームの使用が可能なので「麻酔が切れないうちにスピーディーに!部位ごとに深浅方向を的確に!」と語りながら、鍼柄を持ち送り込みのスタイルで、次々と数多くの鍼を圧巻のスピードで刺入していきました。
また、内出血については「美容鍼があざになるのは仕方ない」と説明をして、「(内出血のリスクより)鍼の美容効果を重視する」のが韓国の特徴と紹介しました。

鍼による日韓交流に期待

日本と韓国でそれぞれ活躍する先生が、鍼灸治療と美容鍼をテーマに現場での実際を披露することで、共通点と違いを深掘りしました。
また、日韓両国の鍼灸事情を交えたディスカッションが活発におこなわれ、参加者からは鍼を通じた国際交流の継続を期待する声が聞かれました。

【記事担当】
取材・文・撮影=ツルタ
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