ポスター発表ってどうだった?
ツルさんはポスター発表ばっかりだったんでしょ?
さまんさ
ツルタ
そうだよ。ポスター発表以外はランチョンセミナーだけ(笑)。
ゆうすけ
ぼくの父親も、長年参加しているからか、大きな会場の演題はほとんど聞かないですね。
ポスター発表が好きというのもあって、よくポスターの会場にいます。
あとはその辺で知り合いの鍼灸師と立ち話してます(笑)。
ポスター発表が好きというのもあって、よくポスターの会場にいます。
あとはその辺で知り合いの鍼灸師と立ち話してます(笑)。
津田先生
さまんさは興味の範囲が広いから、ポスター発表にも行くのかなと思ってたんだけど、意外だね。
あー…ポスターもチェックしてたのがあったんですけど…。
さまんさ
津田先生
うん?
うち、身長が153cmで、けっこう小さい方なんですよね。
で、ポスター発表ってポスターの前で演者さんが立って、喋ってはるじゃないですか。
で、ポスター発表ってポスターの前で演者さんが立って、喋ってはるじゃないですか。
さまんさ
津田先生
そうだね。
台とかに乗ってはらへんので、出遅れると、完全に顔は見えへんくて。
参加者の人は男性が多いから、男性が取り囲むと、女性からはまるっきり見えへんかったんです(泣)。
参加者の人は男性が多いから、男性が取り囲むと、女性からはまるっきり見えへんかったんです(泣)。
さまんさ
津田先生
あー。
しかもマイクなしで地声やったし、何を言ってるのか全然聞こえなかったんです。
会場の天井が高くて、声が分散されてしまったのかも。
会場の天井が高くて、声が分散されてしまったのかも。
さまんさ
ゆうすけ
いつもはマイクがあるんですけどね。
津田先生
そうなんだよね、今回のポスター発表はちょっと聞きにくかったよね。
会場もいつもはあんな開放的な場所じゃなくて、声が聞きやすい部屋でおこなうんだけど。
それに加えてマイクなしだと、聞き取りにくいよね。
会場もいつもはあんな開放的な場所じゃなくて、声が聞きやすい部屋でおこなうんだけど。
それに加えてマイクなしだと、聞き取りにくいよね。
顔も見えない、声も聞こえない、だと、もういいかなってなっちゃって。
知り合いの鍼灸師さんのポスター発表だけはちゃんと聞きに行きましたけど(笑)。
知り合いの鍼灸師さんのポスター発表だけはちゃんと聞きに行きましたけど(笑)。
さまんさ
(ポスター発表 スポーツ『eスポーツアスリートが抱える愁訴に対する鍼治療の試み プロゲーミングチームにおける活動報告』)
津田先生
なるほどね。これは意見として報告しておかないといけないね。
ツルさん的に、ポスター発表の内容はどうやったん?
さまんさ
ツルタ
うーん。ま、正直「疑問に感じた」発表はあったね。
どういうこと?
さまんさ
ツルタ
「学会ってなんですか?」の回で、RCT(ランダム化比較試験)について話したでしょ?
「やっぱり今はRCTで科学的根拠を示そうとしてるんだな」と発表からも感じたんだけど。
「やっぱり今はRCTで科学的根拠を示そうとしてるんだな」と発表からも感じたんだけど。
津田先生
うん、今はそういう風潮だよね。
ツルタ
でも、その前提になるデータの精度はどうなんですかね?
津田先生
おっと。
ツルタ
「データを集めました」という発表が多かったけど、その調査のやり方やその対象において…前提が怪しいのもあったんじゃないかな。
津田先生
そうだねぇ…。
聞きにきてはる人は、誰もツッコまへんの?
さまんさ
ツルタ
うーん。
ゆうすけ
昔はけっこうシビアなツッコミがありましたけどね。今はあんまり無いかな。
それは良い流れなの?
前回の「学会ってなんですか?」で触れた、いわゆる「マウンティング」はなくなった。
けど、それと引換にポスター発表のレベル低下が起こっているということ?
前回の「学会ってなんですか?」で触れた、いわゆる「マウンティング」はなくなった。
けど、それと引換にポスター発表のレベル低下が起こっているということ?
さまんさ
津田先生
レベルは下がっていないよ。
学術分野は求められるものが日進月歩で、どんどん進化していくけど、学会全体でそれについていこうとする姿勢はキープされていると感じるからね。
例えば今回も開催されたSMARTで研究デザインをきちんと学んでいる人も増えてきているし。
まぁ…レベルの低い発表も…、中にはあるだろうけど(汗)。
学術分野は求められるものが日進月歩で、どんどん進化していくけど、学会全体でそれについていこうとする姿勢はキープされていると感じるからね。
例えば今回も開催されたSMARTで研究デザインをきちんと学んでいる人も増えてきているし。
まぁ…レベルの低い発表も…、中にはあるだろうけど(汗)。
ゆうすけ
調査の前提のやり方や対象で言えば、査読(さどく/12月の締切までに提出された発表内容を、学会側があらかじめチェックすること)の時点で、本来はもっと精査されるべきなんでしょうけど。
津田先生
そもそも発表者が抄録(しょうろく/学会のガイドブックのようなもの)の原稿を提出する段階で、研究の概要は示していても、細かいことまではわからないんだよね。
あと、査読にも限界があるので…。
いちおう、査読の段階でツッコめる範囲では確認しているんだけど。
あと、査読にも限界があるので…。
いちおう、査読の段階でツッコめる範囲では確認しているんだけど。
厳しさの度合いが難しいのか。
さまんさ
津田先生
学会としては「一定のレベルを満たすような内容であることを担保する」努力はしている、と思ってほしいかな。
うんうん。
さまんさ
津田先生
「マウンティング」に関しては、そうですね…。
以前はゆうすけ君のいうシビアなツッコミで、曖昧な部分が補正されていたかもしれないけど、今はよほどじゃない限り、強く言う人はいませんね。
参加者として聞き慣れてくると、レベルが低い発表なのか、そうじゃないかがわかるようになります。
レベルの低い発表については、そっと見守るか、やんわり指摘する感じになりがちです。
発表している当人には、そういった経験を経て、回数を重ねるごとに自分で修正することを期待しています。
以前はゆうすけ君のいうシビアなツッコミで、曖昧な部分が補正されていたかもしれないけど、今はよほどじゃない限り、強く言う人はいませんね。
参加者として聞き慣れてくると、レベルが低い発表なのか、そうじゃないかがわかるようになります。
レベルの低い発表については、そっと見守るか、やんわり指摘する感じになりがちです。
発表している当人には、そういった経験を経て、回数を重ねるごとに自分で修正することを期待しています。
や、優しい世界…。
さまんさ
ゆうすけ
正直、鍼灸業界の研究がピンキリなのは現実だし理解できますけど…、上に合わせるのか、下に合わせるのかという部分で語ると、下に合わせていいのかという問題はありますね。
ツルタ
ぼくの勝手なイメージにすぎないけど…学術ってさ、スポーツみたいにレベル毎に揉まれて成長するというか、ある程度は競うこともする分野だと思っていたよ。
ツルタ氏はね〜、学術愛が半端ないからね〜。
さまんさ&ウラベ
ツルタ
うるさいよ(笑)。
津田先生
ツルタくんはね、ほんと愛があるよね。ポスター発表もセッションごとにちゃんと最初から最後までいるし。
どういうこと?
さまんさ
津田先生
ポスター発表は各セッションで座長が決まっていて、司会進行をしていくのね。
テーマごとに区切った、5-6人の発表を1セッションとして進めていくんだけど、興味のあるポスター発表だけ聞くというのはお作法的にはNGなの。
セッションまるまる聞いてほしいってこと。
テーマごとに区切った、5-6人の発表を1セッションとして進めていくんだけど、興味のあるポスター発表だけ聞くというのはお作法的にはNGなの。
セッションまるまる聞いてほしいってこと。
(ポスター発表「セルフケア」にて座長を務める代表 津田昌樹)
知らんかった〜。知り合いの鍼灸師さん+前後の方の発表しか聞いてない(汗)。
さまんさ
津田先生
だから、そういったお作法もツルタくんはちゃんとした上で、今回のポスター発表の感想を言ってくれているからね、ありがたいよ。
もう「見えない・聞こえない」という時点でスネてたからなぁ…。反省します。
さまんさ
津田先生
ま、知らないとそうなるよね。そういうことを知る環境が、今はほとんどないんだもん。
そもそも「ポスター発表」はどういう定義なんですか?
さまんさ
津田先生
「一般会員の鍼灸師や学生たちが、研究あるいは症例の報告をする場所」という定義でおこなわれているね。
研究だけに限らないんですね。
さまんさ
シンタロー
おれ、災害鍼灸の発表を聞いたよ。
(ポスター発表 災害『被災地における鍼灸マッサージ術の有用性 はり・マッサージ施術受療者調査による検討』)
津田先生
そういうのは研究じゃなくて、現場の報告だよね。
「現場でこういったことがありました」という発表。
そこから、研究が始まることが良くあるんだよ。
「現場でこういったことがありました」という発表。
そこから、研究が始まることが良くあるんだよ。
シンタロー
そうですね。こういう発表の機会は、全日本鍼灸学会しかないのかなという印象はありました。地域ごとの業界団体ならあるかもだけど。
あと、企業の健康経営に関する発表も聞いた。前日まで編集していた東鍼会の会報のテーマだったからタイムリーだったな。
あと、企業の健康経営に関する発表も聞いた。前日まで編集していた東鍼会の会報のテーマだったからタイムリーだったな。
(ポスター発表 疲労・うつ『労働者の疲労に対する鍼灸治療の効果に関する検討』)
津田先生
エビデンスに則った研究もあるし、各団体の報告もあるし、いろんな発表の形があるのがポスター発表のいいところだね。
わたしが聞いた耳鍼のポスター発表も面白かった。
締めの部分ではプラセボの可能性も含みつつも、今年の発表は「来年のRCTに向けての布石」という内容だったから、今後も追いかけたいな。
締めの部分ではプラセボの可能性も含みつつも、今年の発表は「来年のRCTに向けての布石」という内容だったから、今後も追いかけたいな。
ウラベ
(ポスター発表 睡眠『耳鍼のセルフケアが大学生の睡眠、抑うつ、学習状況に及ぼす影響』)
ジャニーズJr.の中から、推しを先取りするみたいな感じですね(笑)。
さまんさ
そうそう(笑)。「推し研究者」を作り、その成果を追いかける、みたいな楽しみ方もいいかなって。
ウラベ
ツルタ
それなら、ぼくにも気になる発表者がいたわ。
その場で取材依頼しそうだった(笑)。
その場で取材依頼しそうだった(笑)。
へー、どんなひと?
さまんさ
ツルタ
京都の先生の発表でさ、フィールドワークという視点が面白くて…(ワクワク)。
(ポスター発表 セルフケア『年中行事「二十日灸」の方法と行事の意味』)
やっぱ学術愛だねぇ…♡
さまんさ&ウラベ
ツルタ
うるさいよ(笑)。
AcuPOPJ(アキュポップジェイ)の報告会はどうだった?
ウラベさん、AcuPOPJ(アキュポップジェイ)の報告会はどうでした?
さまんさ
そうねぇ…正直参加してる人数が少なかったね〜。だいたい関係者じゃないかな。
ウラベ
AcuPOPJって、そもそも何でしたっけ?
さまんさ
津田先生
AcuPOPJは「国民のための鍼灸医療推進機構」という団体の略称だね。
鍼灸医療推進機構は、学術団体の「(公社)全日本鍼灸学会」と、職能団体の「(公社)日本鍼灸師会」と「(公社)全日本鍼灸マッサージ師会」、教育機関団体の「(公社)東洋療法学校協会」の4団体が共同で運営しているんです。
鍼灸医療推進機構は、学術団体の「(公社)全日本鍼灸学会」と、職能団体の「(公社)日本鍼灸師会」と「(公社)全日本鍼灸マッサージ師会」、教育機関団体の「(公社)東洋療法学校協会」の4団体が共同で運営しているんです。
いっぱい関わっているんですね。
さまんさ
津田先生
過去に、各々の団体がバラバラに活動してきた経緯があったんだけど、鍼灸師養成学校の増加にともなって、様々な問題に対処する必要性が出てきたんだよ。
それで2006年に「鍼灸医療推進研究会」が設立されたのね。
そのあと徐々に発展して、現在の「国民のための鍼灸医療推進機構」となったんです。
それで2006年に「鍼灸医療推進研究会」が設立されたのね。
そのあと徐々に発展して、現在の「国民のための鍼灸医療推進機構」となったんです。
AcuPOPJは何を目的に、どんな活動をしているんですか?
さまんさ
津田先生
まず、鍼灸の啓蒙を目的として「鍼灸net.」というポータルサイトを運営していろいろな情報を発信しています。
時々、facebookで見る鍼灸関連の情報の元は鍼灸net.が情報源だったりします。
時々、facebookで見る鍼灸関連の情報の元は鍼灸net.が情報源だったりします。
(AcuPOPJのこと自体、知らなかったけど情報源なのか…)
さまんさ
津田先生
それから新卒者対象の「卒後研修制度」を運営しています。
ウラベさんが受けたのはこの研修制度です。
ウラベさんが受けたのはこの研修制度です。
そうそう。
ウラベ
津田先生
あと1つ、各団体の横のつながりを持って連携するパイプとして機能しています。
この「4つの業界団体がまとまって、何かをしようとしている」ところに可能性を感じてるんだ。
だから本来はもっと注目されてもいいはずなんだけど、なかなか知られてないんだよね。
だから本来はもっと注目されてもいいはずなんだけど、なかなか知られてないんだよね。
ウラベ
それまでバラバラで活動してたんですか?
さまんさ
津田先生
鍼灸師は一人親方の職場が圧倒的に多いから、組織的に動くのが下手な人が多いんですよね。
で、危機感を持って、いよいよみんなで共同的に動こうとなったんですよ。
で、危機感を持って、いよいよみんなで共同的に動こうとなったんですよ。
んんん…でも、新卒が対象であれば、去年のうちがまさにその対象なんですよ?
もっと情報が入ってきててもおかしくないんやけど、なかなかそういう情報が入ってこないのが残念すぎる〜。
うちはハリトヒト。を始めてから、津田先生やウラベさんからお話を聞く機会があったけど、国試が終わった段階で存在を知っておきたかった…!
もっと情報が入ってきててもおかしくないんやけど、なかなかそういう情報が入ってこないのが残念すぎる〜。
うちはハリトヒト。を始めてから、津田先生やウラベさんからお話を聞く機会があったけど、国試が終わった段階で存在を知っておきたかった…!
さまんさ
津田先生
そうなんだよね…(汗)。なかなか広まっていない現状があります。
さまんさみたいに先輩鍼灸師が周りにいると、遅ればせながらでも知ることができるけど、学校を出ちゃうとなかなか情報が入らない仕組みだよね。
さまんさみたいに先輩鍼灸師が周りにいると、遅ればせながらでも知ることができるけど、学校を出ちゃうとなかなか情報が入らない仕組みだよね。
うちは違う演題を見たくて行けてないんですけど、学会でのAcuPOPJの報告会はどんな内容なんですか?
さまんさ
昨年度の受講生の人数や内容を報告して、今後の方針を言って終わり、みたいな感じかな。
ウラベ
(『AcuPOPJ(国民のための鍼灸医療推進機構)報告会』)
学会としては大切な組織であるはずなのに、その報告会の参加人数が少ないのは寂しいですね。
ちなみにウラベさんはなんでAcuPOPJを受講したんですか?
ちなみにウラベさんはなんでAcuPOPJを受講したんですか?
さまんさ
えっとね、先代が他界して、急遽、実家の治療院を継ぐことになったときに、勉強不足すぎる自分を感じたのね(ウラベは3代目鍼灸師)。
もう1度、初歩的な所から学び直したいと思ったときに、卒後臨床研修制度に助けてもらったの。
もう1度、初歩的な所から学び直したいと思ったときに、卒後臨床研修制度に助けてもらったの。
ウラベ
津田先生
新卒の時期じゃなかったんだね。
そうなんですよ。すごく助けてもらったから、わたしはAcuPOPJが好きで、偏愛してる(笑)。
無くなってほしくないから、報告会では自分の要望を伝えたよ。
無くなってほしくないから、報告会では自分の要望を伝えたよ。
ウラベ
津田先生
どんな要望を伝えたの?
「わたしは7-8年目でこの業界に戻ってきたタイミングで、AcuPOPJを受講して、再勉強し直しました。治療院を引き継ぐために必要な知識を、座学の面でも研修の面でもフォローしていただけて感謝しています。自動車のペーパードライバー講習みたいな感覚で受けられてよかったです」という話をして…
ウラベ
津田先生
うんうん。
だから「わたしみたいなペーパードライバー講習的な位置づけで広めていくのはいいんじゃないか。卒後臨床研修制度の既卒者への門戸をもっと開いてほしいです」という要望を報告会の最後に言わせていただいた(笑)。
ウラベ
津田先生
いいね。
そしたら座長から「卒後臨床研修は既卒者も増えている。既卒者への研修の道筋をさらに作りたい」という言葉を聞けたからね。
今後に期待してますよ、わたし。
今後に期待してますよ、わたし。
ウラベ
結婚、出産、妊娠で現場を離れた女性にも良さそうですもんね。
さまんさ
そうなの。受講する回数がけっこう多いので、その辺のハードルがあるかもだけど、需要はあるはず。
ウラベ
ちなみに「AcuPOPJ」っていう名前は可愛いなって思っています(笑)。
あと「ウラベさんがイイって言うなら、きっとイイんだろうな」という意味で興味がある(笑)。
既卒者もOKなら、活用したいサービスですね。
あと「ウラベさんがイイって言うなら、きっとイイんだろうな」という意味で興味がある(笑)。
既卒者もOKなら、活用したいサービスですね。
さまんさ
津田先生
今後、AcuPOPJがうまく活用される仕組みを考えていく必要はあるね。