で、学会ってどうだった?/ハリトヒト。編集部

学会=同窓会? だけじゃない?

ツルタ
ツルタ
ぼく、学会中はこちらから声をかけたりして、いろんな人とお話したんですけど。
津田先生
津田先生
何を話したの?
ツルタ
ツルタ
いろいろ話したんだけど…、特に「学会に来た目的は?」って聞いていました。
じゃあ「友だちに会えて楽しい」という答えがかなり多かったんだよね。
津田先生
津田先生
学会は「全国規模で鍼灸師が集まって、コミュニケーションする場を作る」という意味合いも大きいからね。
でも、元々は学術が好きな人が集まってるんですよね?
ずっと参加していると、学術よりもだんだん同窓会的な意味合いが強くなっちゃう感じ?
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
たしかに同窓会的な意味合いは強いかもしれない…。
けど、それは鍼灸業界という同じフィールドで研究している仲間が寄り合って、ともに同じ方向を見ていると言うことを確認してるという点で、けっして仲良しクラブではないんだよね。
研究は孤独な作業が多いし、ましてや鍼灸は自然科学全体から言うと、かなりマイナーなフィールドだから、学会で顔を合わせて話すのはかなり意義があることなんだよ。
ゆうすけ
ゆうすけ
ぼくは患者さんのために、学会で知り合った先生方とネットワークを作るのも1つの目的ですね。
ツルタ
ツルタ
どういうこと?
ゆうすけ
ゆうすけ
たとえば自分が診れない土地に住んでいる患者さんや、専門外の患者さんだと、ほかの先生を紹介したくなるんですけど、実際に誰を紹介すればいいかわからない。
うんうん。
さまんさ
さまんさ
ゆうすけ
ゆうすけ
少なくとも学会に来ている先生は学術に対して真摯なのかな、というイメージがあるので、学会で知り合った先生は紹介しやすいな、と思っています。


(懇親会の様子)
津田先生
津田先生
ぼくも喋ったことのある先生以外は、なかなか紹介しづらいね。
リアルに会うって、けっこう大事だよ。
何年も臨床をしている知らない先生より、2年目のさまんさのほうがずっと信用してるよ(笑)。
ええええ(笑)。
さまんさ
さまんさ
シンタロー
シンタロー
おれははじめての学会だったけど、久しぶりにお会いする仲のいい先生がいたからホッとした。
なんだか、変に緊張してたんだよなー。ハードル高いと思っていたし。
津田先生
津田先生
知ってる先生がいると、安心するよね。
そういえば、わたし、今回、学会で白杖をついた、目の不自由な先生をお弁当引換所までアテンドしたの。
もう30年以上も学会に参加していらっしゃる、ベテランの女性だった。
そういう先生に5分でも触れ合えて会話が交わせたことで、参加して良かったと心から思えた。
ウラベ
ウラベ
うちも懇親会のあと「昼間は明るくて見えたんだけど、夜になると見えなくて」とおっしゃる女性を会場の出口のほうへ案内したー。
少しの間しかお話してないけど、気軽に通路に荷物を置いちゃダメだなと気付いた。
盲導犬が会場で活躍しているシーンもたくさん見かけたし。
目が不自由な方といっしょに同じ業界を支えてるはずなのに、理解が不十分だなーと反省。
ほんと勉強になりました。
さまんさ
さまんさ

今回の学会は「女性のミカタ」だった?

ゆうすけ
ゆうすけ
今回Twitterで、さまんささんが「#学会ファッション問題」というタグで、学会の直前に「どんな格好をしたらいいの?」という話題をしていましたね。
あー、そうそう。
去年の学会に参加してた人のツイートで「寒い」という意見がめっちゃあったから、今年はどうなんだろうと思って。
さまんさ
さまんさ


(さまんさのツイートより)
津田先生
津田先生
「女性のミカタ」がテーマで、女性が凍えるような環境だとマズイもんね。
そうなの。ヒールを履くと、けっこう足元が冷えるのよ。
さまんさ
さまんさ
足の甲が出るもんね。
ウラベ
ウラベ
うちは疲れるのがイヤで、ヒールはやめちゃったけどね(笑)。
でも、足の疲れない、冷えないフォーマルな靴を買わなきゃなと思った。
学会は会場がすごく広いから、たくさん歩く前提で行かないといけないんだもん。
さまんさ
さまんさ
ゆうすけ
ゆうすけ
女性はそういうところが大変ですよね。今回は会場が寒くなくてよかったですね。
そうね! 逆にちょっと暑いから、みんなスーツなどの上着を脱いで参加してる感じだった。
たまたま施設側の空調管理がそうだっただけかもだけど(笑)。
先に現地で会議に参加していた津田先生が、Twitterの話題に乗ってくれて、「寒くないよ」と報告してくださったから、すごく助かりました。
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
「女性のミカタ」ではあった?
そうですねー。室内温度と津田先生は(笑)!
でも、さっき言ったとおり、背が低い人や女性にとって、ポスター発表はミカタじゃなかったかな…。
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
そうだね。
わたしは最後の1日だけ参加だったんですよね。
ウラベ
ウラベ
土曜日にお子さんと親子遠足があったんですよね?
さまんさ
さまんさ
そうそう。5月は子育て世代にとっては、そういう時期なんですよ。
来年はたぶん運動会とかぶってるし。
だから「5月の週末に学会がある」=「すでに子育て世代にとってはミカタではない」という。
ウラベ
ウラベ
津田先生
津田先生
なるほど。
母校(東京医療専門学校)の村上哲二先生に会いたくて、1日だけでも参加しようと思ってがんばって行きましたけど、正直…。
ウラベ
ウラベ
津田先生
津田先生
うん?
「1日券」があればいいのに!と思いました。
学会の会員じゃない一般参加だと、事前登録で16,000円、当日参加だと1日でも18,000円なんですよ。
ウラベ
ウラベ
当日参加ってそんなにするんですか? 高い〜。
さまんさ
さまんさ
あと、女性は当日にならないと、子どもの体調や家庭の状況がわからないじゃないですか。
そもそも事前申し込みのハードルが高いんですよ。
それに加えて、子育て世代ならではの行事があって、1日しか参加できない。
だからすごく割高になっちゃうんですよね。
ウラベ
ウラベ
津田先生
津田先生
なるほどね。
そういう意味では、1日券があればいいのになぁと。
行きたい演題を狙って1日だけ家族を説得することもできるし。
小さな子を持つ親世代は、2日間、家をあけるということが、男女関係なく難しいんですよ。
ウラベ
ウラベ
津田先生
津田先生
うーん、なんで1日券がないんだろうね。セキュリティの問題かな…。
でも、実際の会場では「受付の意義とは?」という印象やったな〜。
事前申し込みをしていたら、受付必要なし。
あれってセキュリティ的にはちゃんとしてることになるの? よくわかんないけど。
さまんさ
さまんさ
わたしね、フジロックとかサマソニみたいに、リストバンドだと良いんじゃないかと思いました。
ウラベ
ウラベ
津田先生
津田先生
どういうやつ?
スタッフの人が券の種類によって、色違いのリストバンドを手首に付けてくれるんですよね。
ハサミを入れないと切れないの。だから途中で人に譲渡できないっていう。
さまんさ
さまんさ
そうそう。あれだとコストも安いし、取り付けは簡単。
両日参加の人、1日目だけの人、2日目だけの人、のいずれかがわかりやすいんですよね。
ウラベ
ウラベ
1日券制度は「女性のミカタ」というより、「みんなのミカタ」という感じで、良いなー。
土曜日がお勤めの先生や、学校に行かないといけない教員や学生もいるから。
結果的に参加人数が増える可能性もあるかも?
さまんさ
さまんさ
ゆうすけ
ゆうすけ
Twitterでは「子育てしていると学会だけじゃなくて、いろんな勉強会も参加が難しい」という意見がありましたね。
シンタロー
シンタロー
あぁ、あったね。
そういえば、津田先生、けっきょく託児サービスってあったんですか?
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
申し込み次第では、用意する予定だったみたいだよ。
学会誌(全日本鍼灸学会の学会員に届く雑誌)の69巻1号5ページには書いてあったんだけど…。
学会誌? 学会の会員じゃないと読めないやつですよね?
「学会ってなんですか?」の記事のときに、津田先生が託児サービスがあるとおっしゃっていたんで、webサイトや申し込みのページ、メールでのアナウンスはチェックしてたんですが、まさか学会誌とは!
一般参加者は知らないままじゃないですか…(ショック)。
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
会員・非会員にかかわらず、事前申し込みした方全員に送付される抄録にも書いてあったけど、すでに託児サービスの申し込みの期日が過ぎたタイミングで届いてるから意味ないよね(汗)。
サービスを受け取る側としては、「サービスを利用してほしいのかしてほしくないのかどっち?」みたいな気持ちになります…。
「学会の会員限定のサービス」である旨を明記してあるならまだしも。
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
そうだね。学会誌にも対象は「学術大会参加者に同伴するお子様」と書いてあるもんね。
うちみたいに大阪-名古屋の距離だと、交通費がかかるから家族に任せたけど、近ければ託児所に預けるのもいいなと感じる。次は京都だから考えちゃう。
鍼灸師の子ども同士で遊んだり、学会の雰囲気を子どもに見せるのって、すごく教育的に良いだろうし。
小児はりのモデルにもなってくれそう(笑)。
さまんさ
さまんさ
有料でも活用したい人は多そうよね。
ウラベ
ウラベ
津田先生
津田先生
そうだね。せっかく用意していても告知が不十分だと使ってもらえないからね。
臨床で活躍している女性が多いのは確かなのに、学会や業団の参加者に男性が多いのはそういった配慮が足りないからかもしれない。
ただ、今回は「女性のミカタ」になろうと託児所を設置してるところまでは評価してほしいな。
そういえば、去年の日本伝統鍼灸学会では、子ども向けの「ハラノムシ」コーナーがあって、ちょこちょこ子連れさんを見たなぁ。
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
学会によってカラーが異なるけど、ああいうコーナーを用意するということで、子育て世代に優しい面が伺えるのは確かだね。
ご夫婦で鍼灸師をしている方たちもいらっしゃるだろうし。
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
全日本鍼灸学会の参加者数が減っているのは事実だからね。
いろいろと工夫を凝らして、どんな世代も参加しやすいようにアレンジしていく必要がある。
だから、君たちみたいに素直な感想を教えてくれるのは、とてもありがたいことだよ。
え、じゃあ、うちの友だちが抄録が届かなくて困っていた事件も、津田先生に言ったらいい?
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
あ、それね、ほんと申し訳ない…。
うち、あの件に関してはめちゃくちゃ怒ってますよ〜(ニコニコ)。
抄録が届かなかったら、事前にスケジュールが立てられない。
つまり、学会の満足度がめちゃくちゃ下がるってことでしょ〜。
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
う、うん…。
自分じゃなくて、友だちのことだから、よけい怒ってますよ〜(ニコニコ)。
さまんさ
さまんさ
津田先生
津田先生
はいいいい! しっかりと検討します…(汗)。

こちらの記事の編集後記はnoteにて展開しております。
ぜひご覧ください!↓↓↓

【記事担当】
取材= ツルタウラベゆうすけシンタローさまんさ
撮影=ツルタウラベシンタローさまんさ雀啄
文・編集=さまんさ津田昌樹

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