症例から学ぶ和漢診療学
■ 寺澤 捷年(著) ■ 医学書院(2011年) |
澤口先生紹介の『和漢診療学』(岩波新書)は主に一般向けである。
本書は、医学部学生や漢方の初心者に向けた書籍である。
著者自身のアイデンティティーである千葉古方の方証相対論の流れが色濃いが、漢方医学全体を網羅し、できる限り平易に書かれている。
腹診の項も詳しく、体質の虚実に合わせて方剤が配置されている症例は鍼灸師の湯液(漢方薬治療)への理解が進む良書だと感じる。
和漢診療学という温故知新の学問を打ち立てた著者は「吉益東洞以来の革命的思想家」と後代にいわれるのではないだろうか。