日進医療器に関わる多くの人が笑顔になってくれたら嬉しいです/日進医療器株式会社 社長:上島 一晃

「身体って”心や気持ちの乗り物”なんやな」と気付いて

ものづくりがお好きだったんですね。でも鍼灸業界とは縁遠いような…。
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
自分の気持ちが、ものづくりの世界から鍼灸業界に向かったのは、鉄工所で腰を壊してしまって、鍼灸治療を受けたからですね。
ものづくりからめぐりめぐって鍼灸業界に至ったと。
興味を持つきっかけとなったその治療は、どういった印象だったんでしょうか?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
治療を受けたら、腰を壊す前よりも元気になったんですよね。こなせる仕事の量が増えて。
「身体って”心や気持ちの乗り物”なんやな」と気付いて、自分の身体の健康管理がてら、鍼灸を勉強するべきやと思ったんです。
腰の治療法には、マッサージや運動療法などもありますが、あえて鍼灸だった理由はなんですか?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
僕が小学生くらいの頃、母親が鍼灸の学校に行って勉強しているのを見ていたからです。
母は獣医師であり、鍼灸師なんです。
そうなんですね!
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
実験台みたいな感じで、治療を受けていました。朝起きたら、なんか足が痛かったりとか (笑)。
鍼灸学生の家族あるある(笑)。
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
だから、僕には鍼灸が身近だったんですよね。
父は鍼灸の道具を扱っていたし、家には母の解剖学や鍼灸の本があって。
「自分の痛いところはどこかな?」と勝手に調べてました。
自然と興味を持ったと。
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
そうそう。自分の身体だけじゃなくて、高校時代に同級生の腕を触って頭痛を緩和した経験もありました。
センスがあるということですよね。
なのに、そのまま進路として選ばなかった理由は?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
なんか気持ち悪かったんですよね。人を治せるってことは、人を悪くもできるんじゃないかって。
それで、自分は人を触るのはやめておこうと思ったんです。
一瞬は開業鍼灸師もありかなって考えましたけど、なんとなく、違うかなって。
でも腰を壊したのがきっかけで、1周まわって鍼灸に戻ってきたということですよね。
学校生活はどういった過ごし方だったんですか?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
見習いに行きながら学校に通っていたので、その治療院の技術がメインになって、学校の勉強はプラスアルファという学生生活でしたね。
見習いというのは、腰を治していただいた先生?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
そうです。母親も修行していた治療院で。
親子揃って同じ場所で修行するって、ステキです。
鍼灸学校に進むと聞いたときのお母様の反応はいかがでしたか?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
まぁ、喜んでいたように思います。
お父様の反応は?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
正直わからないですね(笑)。
(笑)。でも内心、ご自身の扱っている商品の業界に入られたのは嬉しかったでしょう。
ちなみにどんなタイプの先生の元で修行されていたんですか?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
柔道3段、空手4段みたいな、武道派の先生です。
筋緊張の緩和とカイロプラティックの要素の入った治療でした。
結果としてアトピーの改善にも繋がり、院に来られる患者さんの傾向のひとつになっていました。
一見マッチョなイメージですが、繊細な治療をされる先生なんですね。
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
そうかもしれませんね(笑)。
今も社長は誰かを治療したりするんですか?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
月に数回は家族や近い人に鍼を刺したり、触ったりしています。
臨床の現場から離れると、鍼をする機会がなくなる方が多いですが、社長は続けていらっしゃるんですね。
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
日常業務の思考回路と全然違うところで考えるので、気分転換になります。
それと人を触ることは自分に必要やと思っています。
業としておこなっているわけではありませんし、治療というほどではないですけど(笑)。

「ひとりの治療家は自分の手のひらですくえる水しか患者さんを救えない」

卒業後は臨床の現場に出られたんですか?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
在学中に修行はしていましたが、結果的に卒業後すぐに日進医療器に入社したんです。
進路決定の時期に「臨床を続けていつかは開業する」ということも考えたんですが。
なにか意図があって入社を選ばれたんでしょうか?
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
師匠が「ひとりの治療家は自分の手のひらですくえる水しか患者さんを救えない」と言っていたのが印象に残りました。
具体的ではないですが、メーカーであれば、できることもまた変わってくると思ったのは理由のひとつかもしれません。
鍼灸の恩恵を感じられる患者さんが、自ら臨床に立つより増えると思われたんですね。
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
自分の中では、調子が悪いときに鍼灸を受けるのは当たり前になっていたんですけど、他の人はそうではないですよね。
鍼灸の良さをまわりの友だちに一人ひとり伝えても、なかなか伝わらない。
だから、メーカーとして広く伝えて、鍼灸が当たり前になる社会を目指すのもいいなと思いました。
あとは、やはり…。
???
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
おばあちゃんに言われた言葉ですよね。
「あんたが会社を…」っていう…(汗)。
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
そうそう(笑)。そのときは言われっぱなしでしたけど、やってみーひんとわからへんやん、という思いがあって。
逆に原動力になったと(笑)。
さまんさ
さまんさ
上島社長
上島社長
やってみてどうなのか、というのを、いま確認中ですね(笑)。

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