第54回日本伝統鍼灸学会学術大会 大阪大会が開催されます

第54回日本伝統鍼灸学会学術大会 大阪大会が、2026年9月5日(土)・6日(日)の2日間、立命館いばらきフューチャープラザにて開催されます。
今大会は第34回日本刺絡学会学術大会との併催です。

大会テーマ:「日本鍼灸の儒・仏・道― 臨床に活きるアジア思想 ―」
会期:2026年9月5日(土)・6日(日)
会場:立命館いばらきフューチャープラザ(大阪府茨木市)
※参加申し込みの事前受付は2026年8月7日(金)まで

以下、大会実行委員 関屋成彰先生のコメントです。

今大会は2018年に開催された第46回日本伝統鍼灸学会学術大会(第27回日本刺絡学会学術大会併催)と同じ、立命館いばらきフューチャープラザでの開催です。茨木は、現在判明している最古の鍼術流派「今新流」の開祖・茨木元行が暮らした地であり、日本鍼灸文化の発祥地とも言える重要な場所です(詳しくは茨木市鍼灸師会ホームページをご参照ください)。そのような地で再び学会が開催される、まさに「バック・トゥ・ザ・フューチャープラザ」というわけです。

今大会のテーマは「日本鍼灸と儒・仏・道―臨床に活きる東アジア思想―」です。立命館大学アジア・日本研究所准教授の向静静先生を中心に、医史学、人文科学に関する講演が数多く企画されていることが、本大会の大きな特徴です。

なぜ鍼灸にこのような人文知が必要なのでしょうか。その答えは、歴史的な医学書の記述が、現代医療に大きな発見をもたらすことがあるからです。例えば、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した中国の薬学者・屠呦呦(トゥ・ヨウヨウ)氏は、東晋時代の医学書『肘後備急方』(4世紀前半)の記載から、マラリアの特効薬となるアルテミシニン発見に至りました。古い文献が、現代の命を救う薬につながったわけです。

古典を中心とした人文知には、日々の臨床を大きく前進させる情報が未だ埋もれている可能性があります。そしてそれは、古典を重視する一部の鍼灸師だけが受ける恩恵ではなく、すべての鍼灸師の日々の臨床と繋がっているのです。

具体的に今大会の見どころを紹介させていただきます。大会テーマに掲げた「日本鍼灸と儒・仏・道―臨床に活きる東アジア思想―」を象徴する《基調講演》では、儒教について向静静先生(兼《会頭講演》)、仏教について神野英明先生(神野中医学鍼灸院院長)、道教について宮川浩也先生(日本内経医学会元会長)にご登壇いただきます。向先生は『儒学と医学―近世東アジアの医の交流―』を、神野先生は『禅と撃針(乾の巻・坤の巻)』を、宮川先生は『無心の鍼―森共之と沢庵宗彰―』をそれぞれ上梓されており、3名の先生には各ご著書のエッセンスを大いに語っていただきます。

また、本大会のもう一つの目玉は、何と言っても「藤木家文書」の研究発表です。去る2024(令和6)年の正月に突如として市場に現れた幻の「藤木家文書」を、日本伝統鍼灸学会が購入いたしました。打鍼本流の御薗家と双璧をなした、朝廷の鍼博士・藤木家の一次史料が奇跡的に現存していたことは、まさに日本鍼灸史における大発見です。今大会の実行委員長である長野仁先生のお声掛けのもと、和辻直会長をはじめ、理事会・評議員会の諸先生方のご英断によって、本学会、ひいては日本鍼灸界の共有財産とすることが叶いました。

今回、その「藤木家文書」の大半を翻刻いただいた海原亮先生(住友史料館副館長)と、長野仁先生による研究発表が行われます。日本鍼灸史を知るうえで必見のご講演になること間違いありません。

さらに、今回は医史学を中心とした教育講演も充実しております。池内早紀子先生(大阪公立大学大学院現代システム科学研究科客員研究員)には刺絡文献の『痧脹晰義』について、大浦慈観先生(東洋鍼灸専門学校校長)には杉山真伝流の新出の流儀書『杉山真伝流中之巻五之下』について、ご講演いただきます。また、不肖ながら私も、文化庁が購入し武田科学振興財団・杏雨書屋に寄託されている重要文化財「福井崇蘭館本医学書」に含まれる、貴重な鍼灸書について研究成果を発表いたします。鍼灸にまつわる最先端の医史学研究が一堂に会するのも、本大会の大きな魅力だと自負しています。

日本伝統鍼灸学会に参加する目的が、実技供覧を見るためという先生も多いのではないでしょうか。今大会でも「秘伝公開!日々の臨床のコツと口訣」と銘打った実技供覧を多数プログラムに含んでいます。巨鍼、小鍼刀、刺絡、打鍼、接触鍼と、これほど多様な実技を一度に見られる機会はめったにありません。ぜひご覧いただきたく思います。

今大会は茨木市の後援を得ており、「市民公開講座」も充実しています。

第1席は、落語家の桂福丸師匠に創作いただいた「光秀と元行―鍼聖茨木元行外伝―」を演じていただきます。明智光秀と茨木元行は同時代の人物であり、鍼術に長けていたことが知られています。もし光秀に鍼を伝授したのが元行だったら果たして本能寺の変は……という壮大な創作落語をご堪能いただけたらと思います。

第2席は、「痛みよさらば!―撃退!モヤモヤ血管―」と題して、奥野祐次先生が開発した「運動器カテーテル療法」について、澁谷真彦先生(オクノクリニック神戸三宮院院長)に実例を交えながら解説していただきます。治りにくい慢性的な痛みの原因は、炎症で発生した異常な新生血管(モヤモヤ血管)とする学説は、刺絡の治効原理と一脈通ずるところがあり、来場された市民の皆様だけでなく、我々鍼灸師にとっても大変有意義な講演となるでしょう。

「市民公開講座」は2日目の午後ですが、大会実行委員でもある茨木市鍼灸師会の松尾正己先生の尽力により、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシン、デロリアンのレプリカ(非公式)の展示を同日(2日目の9時~13時)に実施いたします。試乗はできませんが、レプリカの前での記念撮影は可能とのことです。

まだまだ紹介しきれていないプログラムが沢山ありますが、ぜひ大会ホームページをチェックしていただき、多くの方にご参加いただけたらと思います。

また、一部のプログラムを除き、参加者限定のアーカイブ配信も後日実施予定ですので、茨木まで足を運ぶのが難しいという方も、ぜひご参加ご検討ください(アーカイブ配信のみの受付はございません。現地参加されず視聴をご希望の方は通常の参加申込みをお願いいたします)。間違いなくご満足いただける大会になるよう、実行委員一同で準備しております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

詳細・お申し込みは、大会公式サイトをご確認ください。
https://54-osaka.jtams.com/about