お灸は私の生きる道/鍼灸師:越石 まつ江

お灸で大切なのは「種類」「温度」それから「リズム」

越石先生
越石先生
ただ、お灸もやり方によっては効かないんです。悪化させてしまう場合もあるので、ちゃんとしたやり方を伝えるのも私の役割だと思っています。ですからお灸の感覚を伝えるために、対面でセミナーを実施することにこだわっているんです。

越石式のセミナーを対面でやっているのは、「伝えたい」っていうことなんですね。先生のおっしゃる「お灸のちゃんとしたやり方」っていうのは、どういう意味なんですか。
タキザワ
タキザワ

越石先生
越石先生
種類と温度と、それからリズムが大事だと思っています。種類はお伝えしたように糸状灸と多壮灸。糸状灸は6通り、多壮灸は3通りの温度にしています。それと、最後はリズムなんですよね。のろくてもダメ、はやくてもダメ。

どうやって使い分けているのか、とても気になります。
タキザワ
タキザワ

越石先生
越石先生
炎症性のもの、例えばぎっくり腰の人なんかは、糸状灸の温度のないものをやります。それで効かないときには、同じ温度を重ねるだけなんですよ。ぬるい糸状灸を34回やっていくうちに治りますよ。よくなってきたら少し熱めにして、奥まで届くようにして。表層は炎症を起こしていますから、軽くしていって表層が治ってきたら奥まで入れてあげる。

勘所みたいのがあるのでしょうね。対面で伝えることにこだわる理由がわかりました。
タキザワ
タキザワ

自分を信じる。お灸を信じる

先生にとって、お灸はどういう存在ですか。
ツルタ
ツルタ

越石先生
越石先生
私の生きる道ですよね。お灸があったから生きているようなものなんですよ。

先生のエピソード全部は記事に載せきれないけど、波瀾万丈な人生ってやつだと思いました。
ツルタ
ツルタ

越石先生
越石先生
私は図々しいんですよ、本当に。自分を信じているの。

お子さんたちも鍼灸師として活躍していますが、それは自然とそうなったっていう印象ですか。
ツルタ
ツルタ

越石先生
越石先生
そうですね。次女の直巳(三村直巳先生)も灸研究と鍼灸学校の教師へと自然とそうなったし、長女の江里は「お母さんがこんなに頑張っているのに、1代で終わらしたらもったいないって思った」って。

ご家族でお灸を信じて取り組んでいるってことですね。
ツルタ
ツルタ

越石先生
越石先生
今の夫も鍼灸師ですが、今年は元旦から具合が悪かったんですよ。それで2回も救急車で運ばれたのね。1月中は具合が悪くて。これ死ぬなと思ったんですよ。私が「お灸しようか」って言って、その日は13回やりましたけど、4日間お灸をしたら良くなって。

一貫性を感じます。「鍼灸いいよ」なんて言って商売するのに、自分や家族にしないっていうのは変な話ですもんね。
ツルタ
ツルタ

越石先生
越石先生
やらないほうが損ですよね。私も1年前に大腿骨頭を骨折したんですけど、毎日お灸をしていますから。「自分を信じる。お灸を信じる」がモットーですね。

これから鍼灸師になる人や、若手鍼灸師に何か伝えたいことはありますか。
ツルタ
ツルタ

越石先生
越石先生
きちんとしたお灸をしてください、と伝えたいですね。そのためには、感性を養うことです。感性があれば、お灸の効果を感じ取ることができますので。

【記事担当】
取材 = ゆうすけタキザワツルタ
撮影 = ツルタ
文    = くちやまだ
編集 = ツルタ

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