お花の世界には「花は7割、手は3割」という言葉があるんですよ
ちなみに中根先生は、休みの日の過ごし方というか、趣味ってあるんですか?
スキカラ
中根先生
自転車に乗ること、車を磨いてドライブすること、季節のおいしいものを食べにいくこと、最近できてないんだけどゆっくり本を読むことかなあ。映画は見なくなったね~。
先生は華道もされてましたよね?
スキカラ
中根先生
あ、お花ね。お花は趣味というより学びになってる。
学びですか。
スキカラ
中根先生
うん。お花のお稽古に伺うと、毎回目の前に違う花材があってさ。
まだ蕾だったり、少し色褪せてきてたり、花がいろんな方向を向いていたりするんだけど、その花を一番魅力的にするにはどうすればいいか?ってのを問われるわけ。
しかも今を最高に美しく生けるんじゃなくて、明日もきっと美しいという生けかたをするのよ。
まだ蕾だったり、少し色褪せてきてたり、花がいろんな方向を向いていたりするんだけど、その花を一番魅力的にするにはどうすればいいか?ってのを問われるわけ。
しかも今を最高に美しく生けるんじゃなくて、明日もきっと美しいという生けかたをするのよ。
華道って未知の世界です。
スキカラ
中根先生
華道って臨床に通じるところがあってさ、幼児やご高齢者もいれば、未病や難病の人もいるわけなんだけど。
目の前にいる人の生命をどう生かすか?って、華道と同じ課題なのね。
花も人も、内心「こうなってりゃいいのにな」って思うんだけど、どちらも自分の理想どおりにはいかないじゃん。
だから、今ある個性を生かすためにはどうすればいいかを真剣に考えるの。
これってめちゃめちゃ自分の仕事にいいなって。
自分の理想を押し付けて、枝を曲げようとして、そこで無理をやったらパキッと折れちゃうわけだし。
目の前にいる人の生命をどう生かすか?って、華道と同じ課題なのね。
花も人も、内心「こうなってりゃいいのにな」って思うんだけど、どちらも自分の理想どおりにはいかないじゃん。
だから、今ある個性を生かすためにはどうすればいいかを真剣に考えるの。
これってめちゃめちゃ自分の仕事にいいなって。
自分の理想を押し付けて、枝を曲げようとして、そこで無理をやったらパキッと折れちゃうわけだし。
鍼灸だったら刺激過多は患者さんの負担になりますもんね。
スキカラ
中根先生
でしょ? お花の世界には「花は7割、手は3割」という言葉があるんですよ。
それは鍼灸も同じかな? 患者さんに対しても、僕らが介入できるのはたぶんそれくらい。
これはある先生が言っていたんだけど、よくて3割。治療の天才のような人で5割いけるかという感じなんだって。
それは鍼灸も同じかな? 患者さんに対しても、僕らが介入できるのはたぶんそれくらい。
これはある先生が言っていたんだけど、よくて3割。治療の天才のような人で5割いけるかという感じなんだって。
僕も「3割バッターになれたら上等だよ」と教えられました。
スキカラ
中根先生
伝統文化って学習じゃなくてお稽古でさ、「道」。
お茶という道、花という道。鍼灸にも『鍼道発秘』や『鍼道秘訣集』があるから、道。
道というのは文化として通底してるからさ。
だから鍼灸師にとってお稽古事っていいなって思う。
お茶という道、花という道。鍼灸にも『鍼道発秘』や『鍼道秘訣集』があるから、道。
道というのは文化として通底してるからさ。
だから鍼灸師にとってお稽古事っていいなって思う。
そうやって学びや遊びが臨床に還元されていくんですね。
スキカラ
治療とか施術がどうかということ以外にも、鍼灸の価値があるんじゃないかな
ところで先生はお寺の縁側でよくお昼寝とかされてましたよね?
スキカラ
中根先生
あはは。よく知ってるね。青蓮院というお寺があってね。
今は観光客が多くてお昼寝なんてできないけど、まだ人気がなかったころなんか、人が全然いないから境内の柱にもたれかかって。
お庭を見ると、それこそお庭は明るく見えるんだけど、本堂の中は真っ暗で、外と内で陰影がしっかりついてて。
マジで谷崎の世界観。
美しいなぁって思ってたら、そよ風が吹いて寝ちゃうんだ。
気がついたら2時間寝てた、みたいなね。
今は観光客が多くてお昼寝なんてできないけど、まだ人気がなかったころなんか、人が全然いないから境内の柱にもたれかかって。
お庭を見ると、それこそお庭は明るく見えるんだけど、本堂の中は真っ暗で、外と内で陰影がしっかりついてて。
マジで谷崎の世界観。
美しいなぁって思ってたら、そよ風が吹いて寝ちゃうんだ。
気がついたら2時間寝てた、みたいなね。
すごい。良い時間。
スキカラ
中根先生
今思えば、そこには心が豊かになる癒し体験があったわけですよ。そういう心地よい時間の中に。
癒しが。
スキカラ
中根先生
僕たちが提供する治療もさ、こういう「時間」としてデザインすることができるんじゃないかと。
鍼灸で提供できることって、効果効能だけで語られる施術結果だけに価値があるのではなくて。
施術を受けていただいている時間の経過にも価値があるんじゃないかなって思うようになったの。
鍼灸で提供できることって、効果効能だけで語られる施術結果だけに価値があるのではなくて。
施術を受けていただいている時間の経過にも価値があるんじゃないかなって思うようになったの。
プラスアルファの価値ということですね。
スキカラ
中根先生
だからMeridianの施術時間はちょっと長めにしてあるんだ。
お着替えをしてもらうときに、外が暑かったらおしぼりは2本お渡しして、個別に扇風機を用意して、汗で濡れたご着衣はバックヤードで乾かしてって、全部やるわけ。
雨の日は、濡れた靴も可能な限り乾かすしね。
施術を受けている間も、お帰りの道中も心地よく。
お着替えをしてもらうときに、外が暑かったらおしぼりは2本お渡しして、個別に扇風機を用意して、汗で濡れたご着衣はバックヤードで乾かしてって、全部やるわけ。
雨の日は、濡れた靴も可能な限り乾かすしね。
施術を受けている間も、お帰りの道中も心地よく。
すごいホスピタリティ。
スキカラ
中根先生
たとえば施術の過程として、完治に至らない段階があるじゃない。
でもシャツがサラサラになっていて、袖に腕を通した瞬間に気持ちいいとか。
雨で濡れてぐしょぐしょになってた靴が、足を入れたときに、不快じゃないとかって。
ちょっとした心地よさが「あ、鍼灸院って優しい場所だな」とか「鍼灸師って、丁寧に診てくれる人なんだな」という評価に繋がるような気がするの。
それが学校で習った「病ではなく人を診る」という意味で、そこに鍼灸の価値があるんじゃないかなという気がして。
でもシャツがサラサラになっていて、袖に腕を通した瞬間に気持ちいいとか。
雨で濡れてぐしょぐしょになってた靴が、足を入れたときに、不快じゃないとかって。
ちょっとした心地よさが「あ、鍼灸院って優しい場所だな」とか「鍼灸師って、丁寧に診てくれる人なんだな」という評価に繋がるような気がするの。
それが学校で習った「病ではなく人を診る」という意味で、そこに鍼灸の価値があるんじゃないかなという気がして。
鍼灸の価値を新たに見直せますね。
スキカラ
中根先生
…自分で言うのもなんだけど、すごくいいテーマについて対談してる感じがしない?
いや、ほんとですよ。これは前編後編になるやつです…。
スキカラ
というわけで後編に続きます。
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