下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
ちょっと古い本ですが、久しぶりに読み返しました。本書は90年代以降の劇的な学力低下の原因について、社会構造がもたらした「学びからの逃走」であるといい、若者の心理を分析しつつ、根源的な問題を明示しています。
「学びからの逃走」の心理的背景には、物心がついた頃から消費主体としての自己を確立してきた若年層(いわゆるZ世代以降)の価値判断基準が「経済合理性」に基づいており、教育現場をも「等価交換のサービス」と捉えることで、価値を理解できないものに投資はしない、という消費者マインドに基づく判断の常態化があることを指摘しています。
そういった思考がピットフォールとなり、自分の物差しで測れない(どう役立つかわからない)ものを、退けてしまうことが「逃走」の原理です。
鍼灸学校という極めて実学的な学問を学ぶ場ですら、「なんでこんなことまで勉強せなあかんの」という声が時に聞かれます。
「これを勉強すると何の役に立つの」が真意なわけですが、本書では予め価値がわからないものを学ぶ意義についても言及されています。
私も例に漏れず同じことをボヤいている学生の一人でした。多くの時間を無駄にしたなと思いますが、いま学生の皆さんは読んでみるといろいろな気付きがあるかも知れません。
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