鍼灸師・薬剤師:戸ヶ崎 正男の5冊

刺鍼技術史

■ 松本 弘巳(著
■ 谷口書店(1991年)

鍼灸治療の実際では刺鍼技術、施灸技術、そしてツボの反応を捉える技術が最も重要であるという考えに異論はないであろう。
本書は、中国の古代から近世までの、また、日本の近世から最近までの刺鍼技術に関する内容を幅広く収載したものである。

鍼灸医学の原典である黄帝内経素問、霊枢、難経等の中から、刺鍼技術にかかわる内容を網羅している。また、それ以降の中国、日本のそれらをも広く収載されている。
タイトルは刺鍼技術史とあり、歴史書かと思うとさにあらず、具体的な方法が満載で、刺鍼技術の資料集とも言える。従って、臨床にも、臨床の文献研究としても役立つことは間違いない。

多くの臨床家が刺鍼技術に求めることは、手技術の意味や用法、それによる鍼響の意味やその出し方であろう。これについてはよく書かれている。
しかし、刺鍼技術に関するものであるから、当然と言えば当然であるが、手技術や鍼響とツボとの関係については書かれていない。
この手の本でこの関係について書かれた本を今まで見たことがないから仕方ないが、欲を言えば、この点が残念なところである。

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