eスポーツ×鍼灸 /鍼灸師:平松 燿

プロチームへのメールでつかんだチャンス

日本でeスポーツのプロになるにはどうしたらいいの?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
さっきも名前が出たJeSU(ジェス)というeスポーツの団体がプロライセンスを発行しているゲームもあります。
プロゲーマーの認定免許ってことか。うーん、どうしたらプロって認定されるのか、そもそもプロってなんだろう。
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
難しい質問ですね。プロライセンスを取ったらプロだとする考えもあれば、どこかプロチームに所属していたらプロとする考え方もあります。ゲーム会社が主催する大会や公式リーグに常に出場している選手たちもプロと言ってもいいかもしれないです。
けっこう曖昧なんだね。あとプロチームってなに?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
「プロゲーミングチーム」のことです。プロのサッカークラブみたいなものをイメージしてもらったらいいと思います。
オーナーがいて、プロ選手やストリーマーが所属していて、得意なゲームジャンルごとに部門があったり、大きな企業とかも絡んでいたり…。体制はチームによってさまざまです。
平松くんはどういうきっかけで、プロeスポーツチームに鍼灸師としてかかわることができたの?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
eスポーツの世界大会を観て「すごい!」と思ったので、自分も携わりたくなったんですよ。それで「ぼく、鍼灸師なんですけど…」ってメールを、いろんなチームにいっぱい送ってみました。
すごいバイタリティーだね。それがうまくいったの?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
ほとんど返事は返ってこなかったんですけど、ひとつだけ「面白いね」って言ってくれるチームの人がいて。
へー!行動してみるものだね。
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
うれしかったですね。そのチームにはちょっとしか携われなかったんですけど、結局いろいろあって別のチームと、鍼灸師として関われることになりました。

長時間のプレイがもたらす身体の不調

eスポーツと鍼灸って、ぶっちゃけどうなの?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
鍼灸が介入することによってプレイのパフォーマンスをより上げていくことができるんじゃないかとは、思っています。
スポーツ選手をケアするのとは、異なる部分がかなりありそうだよね。
例えば、夜通しプレイして、昼まで寝てるようなプレイヤーに対する生活指導はどうしているんだろう。もちろん、プレイする時間帯は人それぞれだと思うけれど、朝から夕方という感じではない気がして……。
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
たしかに、ゲーマーならではの生活は理解しないといけませんね。実は、プレイする時間帯にも理由があって、例えば海外のチームと練習試合をするとなったら、向こうのチームの時間に合わせるといったケースもありますね。
なるほど、夜に活動するのは仕方ないのか。
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
あと、純粋にスポーツ興行の観点から、大会をやるのってだいたい観れる人の多い夕方から夜にかけてなんですよ。だから、夕方から夜にコンディションを高めるように、みんな練習していますね。
通常のスポーツと同じく、本番が行われる時間帯に合わせてコンディションを整えていくわけか。なにか鍼灸師だからこそ役立てることってあるかな?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
ぼくが鍼灸師で良かったなと思うのは、愁訴にもアプローチできる部分です。
筋骨格系に対してはある程度はエビデンスもあるし、疼痛に関してもある程度はコンスタントに結果が出せるだろうと。そこに追加して東洋医学を用いて愁訴に対して治療ができるというのは鍼灸師でならではかな、と。
具体的にどんな訴えが多かったのかな?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
実は「eスポーツアスリートが抱える愁訴に対する鍼治療の試み-プロゲーミングチームにおける活動報告-」という演題で、去年の全日本鍼灸学会学術大会で発表しています。
「肩痛」「頸痛」「腰痛」「目の疲れ」という主訴が多くて、次いで「前腕・手首の痛み」「背部痛」です。少数ですが「ふくらはぎ」「足の痛み」という訴えもありましたね。
肩・首・腰痛はもちろん、眼精疲労、足の痛み、腱鞘炎とかって鍼灸師の得意分野で、患者さんに「鍼灸院に来て良かった」って言われる症状だよね、なるほど。
立場的にはトレーナーになるの?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
トレーナーといえばトレーナーですけど、ぼくは鍼灸師として携わっているのでメディカルトレーナーに近いですかね。
メディカルトレーナーってことは、ケガからの回復に関わるってことだよね。プレイヤーの年齢層は若いだろうから、自然と軽快することが多い?
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
ケアは絶対に必要です。eスポーツの選手って、1日に16~17時間くらい練習をやっている人もいますから。
そんなにも…。
それじゃなかなか治らなそう。あと、16時間もモニターを毎日観ていたら、どう考えても、自律神経のバランスがぶっ壊れるでしょう。
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
ぶっ壊れたままですね。
それこそ寝る前とかに鍼灸を受けたら、いつもより質の高い休息がとれるだろうし、とても良さそうな気がするけど。目の疲れとか身体的に回復するだけでなく、集中力の向上とか精神的にもプラスに作用する可能性もあるよね。
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
いいですね。「ゲーミングハウス」っていう選手が共同生活を送っている部屋があるんですけど、そこに住み込んでケアできればいいかも!
専用の部屋を作って、施術用のベッドを置いて、鍼があって、パルスがあって。あと温灸で目や腰を温めるのもいいし、マッサージも受けられたらいいよね。長時間の練習で興奮状態だと思うから、しっかり休めるようにリセットしてあげたい。
ツルタ
ツルタ
平松先生
平松先生
コンディショニングとして、練習終わりに施術するのがいいかもしれませんね。
うん、チーム専属のプロトレーナーだったら、そうしたアプローチも可能だよね。
ツルタ
ツルタ

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