好きなことができる環境
2カ月働いた後はどうされたんですか。
ゆうすけ
天野先生
海外旅行の添乗員をしたり、北海道の田舎でネイチャーガイドや、ラフティングガイドをしていたんですけど。ちゃんと働くというのにすごく憧れていたので、札幌の会社に勤めました。
ちゃんと働くっていうのは?
ゆうすけ
天野先生
お給料が定額でもらえて、社会保険があって、オフィスに通うような働き方です。
その後、東京に転勤したんですけど、この時に働きながら鍼灸学校に通いました。
その後、東京に転勤したんですけど、この時に働きながら鍼灸学校に通いました。
いきなり鍼灸が出てきましたね。どうして鍼灸の学校に行こうと思ったんですか?
ゆうすけ
天野先生
これっていう理由はないんです。
きっかけはいろいろありますが、好きなことができる環境だったからですね。
学校に入る1年くらい前に結婚していたので、家事と仕事と勉強を同時にするのは大変でしたけど、なんとか鍼灸師になれました。
きっかけはいろいろありますが、好きなことができる環境だったからですね。
学校に入る1年くらい前に結婚していたので、家事と仕事と勉強を同時にするのは大変でしたけど、なんとか鍼灸師になれました。
卒業してからは?
ゆうすけ
天野先生
ちょうど勤めていた会社を辞めたので、とりあえず失業保険をもらうことにして。職業訓練校に行くと長く受給できると聞いたので、せっかくだから鍼灸に関係がありそうな介護の学校に行きました。
なるほど。
ゆうすけ
天野先生
その半年が終わったら、今度は離婚もして…。
その後は、北海道に行きたくなって、帯広の吉川先生のところに行きました。
その後は、北海道に行きたくなって、帯広の吉川先生のところに行きました。
ヒロさんって、東方鍼灸院で研修したんですね。
ツルタ
天野先生
はい。ドンドン治療をさせてくれるので、鍼灸の経験をしっかり積めました。
この時に、豪華客船に乗ろうって決めて、英語の勉強とかも始めたんですよ。
この時に、豪華客船に乗ろうって決めて、英語の勉強とかも始めたんですよ。
船のことはどのように知ったんですか?
ツルタ
天野先生
専門1年生の時に読んだ『医道の日本』に、豪華客船鍼灸師の話が載っていて、「これ行きたい!」と思いました。でもその時は結婚していたので、行けないと思っていたんですけど、離婚したから行けるじゃんって。
別れたから豪華客船に挑戦できる環境になった…。
ツルタ
天野先生
環境ってとても重要です。
好きなことができる環境なら、好きなことをやったらいいと思います。
好きなことができる環境なら、好きなことをやったらいいと思います。
I can help you
鍼灸師になって何年目で豪華客船に乗ったんですか?
ウラベ
天野先生
3年目です。
船に乗るにあたって、例えば英検何級とか、なにか応募資格があるのか気になります。
ウラベ
天野先生
今はマリンテストという英語の試験があります。日本にある船の鍼灸師をあっせんしている英会話学校で、英語のレベルをチェックしてもらえますよ。
ヒロさんの英語力はどうでした?
ウラベ
天野先生
面接のときに「あなたの英語微妙」って言われました。昔は今よりゆるかったので、なんとか受かった感じです。
最初から得意だったわけじゃないんですね。
ウラベ
天野先生
本当にうまくなかったので、シンプルに「I can help you」と言いなさいって、マネージャーから指示されていました。
「I can help you」ってことは、自分でお客さんを探すんですか?
ツルタ
天野先生
そうです。
スパのサービスに、マッサージとかネイルとかフィットネスとかいろいろあって、その中に鍼もあります。
マッサージ、ネイル、フォーマルナイトに髪を直すとかは人気があるんですけど、誰も鍼を受けようとは思ってないんですよ。
スパのサービスに、マッサージとかネイルとかフィットネスとかいろいろあって、その中に鍼もあります。
マッサージ、ネイル、フォーマルナイトに髪を直すとかは人気があるんですけど、誰も鍼を受けようとは思ってないんですよ。
船でも鍼の受療率は低いのか。
ツルタ
天野先生
だから、受けてもらえるように努力をするんです。
乗船したお客さんがスパの施設を見るツアーに来るので、「私は鍼灸師です」「痛みはないですか?」「こういう症状に効きます」ってアピールをします。
乗船したお客さんがスパの施設を見るツアーに来るので、「私は鍼灸師です」「痛みはないですか?」「こういう症状に効きます」ってアピールをします。
どこでも集客は必要なんですね。
お客さんはだいたい何日間くらい船にいるんですか?
お客さんはだいたい何日間くらい船にいるんですか?
ツルタ
天野先生
クルーズにもよるけど、3日から1週間くらいが多いのかな。
でも1カ月とか、何カ月も乗る人もいて、その人に合わせた治療プランを組んでいきます。会社的には、毎日治療しなさいって考えです。
でも1カ月とか、何カ月も乗る人もいて、その人に合わせた治療プランを組んでいきます。会社的には、毎日治療しなさいって考えです。
そういう毎日続ける治療もやってみたいです。
ツルタ
天野先生
売上目的でもいいですか?
日本だと、どうしても月給の人が多いから、月に使えるお金の範囲内で施術回数を決めている部分があると思います。
本当だったら、集中的に治療した方がいいパターンもあるんじゃないかって。陸の上というか、日常だからそういう選択ができていない気もするんですよ。
本当だったら、集中的に治療した方がいいパターンもあるんじゃないかって。陸の上というか、日常だからそういう選択ができていない気もするんですよ。
ツルタ
天野先生
たしかに日本にいたら、週に1回とか2回が一般的ですよね。
船だと「毎日治療したら10日間でよくなります」みたいなことを言います。
船だと「毎日治療したら10日間でよくなります」みたいなことを言います。
そういう売り込み方をしてると思いました。
ツルタ
天野先生
売上が目的なので、本当は嫌なんですよ。
でも毎日治療するうちに、あるとき急に良くなることもあります。すごいビックリして、なんでもやってみるもんだなって。
でも毎日治療するうちに、あるとき急に良くなることもあります。すごいビックリして、なんでもやってみるもんだなって。
やってみて初めてわかることってありますよね。ちなみに乗客は、富裕層が多いんですか?
ツルタ
天野先生
お金持ちばかりのクルーズもありますけど、そんなことないですよ。
クルーズって、乗ったら食事もエンターテインメントも付いているので、全然お金を使わないでもいられるんですよ。だから本当にお金がなくて鍼を受けられない人もいます。
クルーズって、乗ったら食事もエンターテインメントも付いているので、全然お金を使わないでもいられるんですよ。だから本当にお金がなくて鍼を受けられない人もいます。
そこは誤解してました。
富裕層相手に高単価でやるから、すごく稼げるのかなって。
富裕層相手に高単価でやるから、すごく稼げるのかなって。
ツルタ
天野先生
豪華客船鍼灸師って稼いでない人もいますよ。稼げる人が有名になりがちなので、そのイメージだと思います。
意外です。なんていうか、船の鍼灸師ってみなさん輝いて見えるから。
ツルタ
天野先生
船の上の鍼灸師はドクター扱いで、立場が偉いんです。輝いて見えるのは、患者さんにお伺いするんじゃなくて、「あなたはこうしなさい」って言う人だからかもしれませんね。
それも知らなかったです。
ツルタ
天野先生
日本人って相手の顔色を伺ったりするじゃないですか。そこを日本人鍼灸師は、マネージャーから、もっと自信を持ちなさいってかなり強く言われます。
自信ありげに見せるのも大変なんですよ。
自信ありげに見せるのも大変なんですよ。