「伝わるように伝える」のが我々の責務/鍼灸師:澤口 博

「人が働いている時には働け。人が休みの時に稼げ」が染み付いています(笑)

病院での任期を終えたあとは、いよいよ開業されたのでしょうか?
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
実は開業の直前に、赤十字ボランティアとして、ネパールのヘルスキャンプに参加しました。
ネパールのヘルスキャンプというと、畑美奈栄先生の活動ですよね?
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
そうです。ヘルスキャンプが8年ぶりくらいに復活するというお話をお伺いして「参加してみよう」と思いました。
開業前の2009年8月のことです。
現在モクサアフリカの事務局長をさせている山川先生や、和ら会の米田先生と、10名ほどで一緒に活動しました。
ネパールから帰国したあとに開業されたということでしょうか?
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
はい。帰国してすぐの2009年11月に、まずは東京都目黒区のこの場所で開業、12月に病院のある神栖市内で一軒家を借りて開業しました。
ほぼ同時に2院オープンですか!
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
そうですね。今は、土・日・月・火が東京、木・金は茨城で仕事をしています。
どちらも9年目になりました。
水曜日に茨城に移動して、土曜日の朝に帰ってくる、という流れをずっと続けています。
片道3時間の移動時間を考えるとハードですね。
それぞれの治療院にスタッフの方はいらっしゃいますか?
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
どちらも私ひとりでやっています。
以前は鍼灸師の先輩に手伝っていただいたこともありましたが、今は私がいない日は治療院自体を閉めていますね。
ぼくなら経営面でドキドキ…。あと、休みがほぼないのが気になります。
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
会社員の頃から休まずに働くことには慣れていましたので、こういう働き方になっていますね(笑)。
劇団はサービス業ですから「人が働いている時には働け。人が休みの時に稼げ」と教えられました。
少なくとも私がやっていたときの話ですけれど。
「年間休日を計算したら6日間だけだった」なんてことがある職場環境でやってきたので、それが身体に染み付いているのかもしれません。
慣れてしまうのも恐ろしいですね(汗) その合間に、学会発表の資料作りもやっているんですよね。体力的にもキツそう…。
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
ずっとこのような生活をしているので、体力面の不安はないですね。
即答ですか…!
では、何か健康面について気をつけていることはありますか?
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
毎朝5時半に起きて走っているくらいですね。というか、朝しか運動する時間がない(笑)。
あっさりとおっしゃいますが、ハードな生活リズムに加えて早朝ラン。超人すぎますよー!
シンタロー
シンタロー

自分だけのものにせず、学んできたことを後輩たちに伝えたい。

澤口先生は積極的に学会で発表していらっしゃいます。資料作りや発表は大変ではないですか?
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
まあ、学会は叩かれに行く場ですからね(笑)、発表前の準備は確かに大変です。
それでも、その場で自分とは違う立場や考え方の先生からご意見をいただくのはとても勉強になりますよ。
学会はまさに学びの場だ、と私は思っています。
治療院にこもってひとりでやっていると、学びに限界があるのは事実ですね。
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
ええ。臨床での自分の治療が本当にいいのかを知る必要があります。
そのためには、別の視点から考察しなければなりません。
そういう意味では、学会は自分の修行の場でもありますね。
加えて、学会とは別に毎月1回、学生や既卒者のための勉強会を主催しています。参加者は50名ほどです。
ええっ…ハードスケジュールに上乗せして、勉強会ですか。
シンタロー
シンタロー
澤口先生
澤口先生
私が卒業後に参加させていただいている勉強会で、6年前から月1回、学生勉強会の講師を担当しています。
これまでの経験や勉強会の中で得てきた自分の知識や技術を、後輩に伝えたいと思って始めました。
カリキュラムは通年で組まれていて、気がつけばシーズン6です。
会費も一回500円を場所代としていただくくらいで、まぁボランティアですね(笑)。
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