僕の読んでほしい4冊です。
(1) よい匂いのする一夜
(2) やさしい鍼を打つための本
(3) マスターの教え
(4) それから
よい匂いのする一夜
■ 池波 正太郎(著) ■ コロナブックス(1998年) |
著者は時代物『鬼平犯科帳』『真田太平記』などで有名な、池波正太郎氏。浅草の綿問屋の長男として生まれた氏は家庭の事情で奉公に出たのですが、才覚があったために収入がよく、若くして観劇や食べ歩きをして過ごした生粋の趣味人。その後、劇作家を経て小説家になった人。
文化芸術に培われた「粋」な視点が、味わい深く旅の風景を切り取ります。洒脱な宿の佇まい、気の利いた女将や仲居の計らい、客室の静寂、舌鼓を打つ料理の生き生きとした描写は躍動感溢れ、読者の旅心が刺激されることうけあい!
得点数だけでお店が評価される昨今ですが、数字には表すことのできない感動が行間から溢れています。
安易な観光化に流されることを良しとしない名宿が背負う伝統という精神性を、余すところなく伝えている本著。研ぎ澄まされた美学を文章で味わい、想像し、そして実際に訪れることができる素晴らしいガイドブックです。紹介されている宿に旅をすれば、伝統的な医療が提供する価値について、再考を促されることでしょう。僕の「遊び」は、この本が原点なのです♪