やさしい鍼を打つための本
■ 中根 一(著) ■ 医道の日本社(2013年) |
「自分にとっての正解は、自分で見つけたものだけ」。
単著で頂いた依頼でしたが、仲間3人での共著として書かせてもらいました。僕が1人で書いた本で伝えられることは、僕の技術論。それは僕にとっての正解だけれど、誰かにとっての正解だとは限らない。でも3人の技術を見比べられれば、共通点と個性を見付けることができるでしょう。それこそが、学びと出会った瞬間。
東洋医学概論にギブアップする学生さんが多いことは、教員ならばみんな知っていること。東洋医学が難しい理由は、求められることが「専門用語の記憶作業」ではなく「西洋文化から東洋文化へのパラダイムシフト」だからです。いきなり価値転換をすることは難しいけれど、例えば古典的な四診法のメリットを、心理学の視点から考えてみるという提案を拙著では提案をしています。
簡単に刺鍼技術が習得できるという意味だけではなく、生き方や学び方に個性を生かし、東洋医学が腑に落ちない人たちにも前向きになれるような寛容さを、「やさしい」という表現に込めています。既に読了くださった方々も、自分に対して優しい視点を持って再読していただければ、また新たな学びに出会えるでしょう。