病気にならない暮らし事典-自然派医師が実践する76の工夫
■ セブン&アイ出版(2016年) |
「すべての病気の原因は、不自然な暮らしにある。自然に沿った暮らしをすれば、病気にならない。」
那須で診療所をされている小児科医本間真二郎先生は、このようなコンセプトのもと、日々ブログやSNS、講演会で情報を発信されている自然派医師だ。
私は、先生の研究内容や発信される情報はもちろん素晴らしい内容だと思っているが、それよりもなによりも、私が先生に興味を持ったきっかけは、その立ち位置だ。
自然派医師や、オーガニックな生活を主張する人は、どうしても自分たちの主張が正しくて、それ以外は悪だというスタンスの人が多い。
自然派医師と呼ばれる先生に何人か実際にお会いしてお話しをしたこともあるが、毎回嫌な気持ちになって、ため息をついて帰ってきた。
そんな、ほぼ「自然派医師恐怖症」になりかけていた私の目に飛び込んできたのが、本間先生のブログだった。
先生のブログは決して人を攻撃しない。
そして、さまざまなデータを元に「私はこう考えますが、あなたはどう思いますか?」というスタンスなのだ。
先生は西洋医学は否定していない。必要な時は積極的に使うべきだというスタンスだ。
先生は以前、アメリカの国立衛生研究所(NIH)でも研究されていたウイルス学者でもあるので、西洋医学や科学バリバリの世界で活動されていた。統計データの見方や科学論文にも精通している。だから情報に説得力があるのだ。
この本は、私たちが現代生活の中で、どのようにしたら自然に近い生活を送ることができるかを、分かり易くまとめてくれている。
『奇跡のリンゴ』でも書いたが、治療を突き詰めていくと、患者さんの身体だけでなく、生活習慣や生活環境を改善していく必要が出てくる。
しかし、それをどのように変えて行ったらよいのか、なんとなくは分かっても、パッと調べられる本は少ない。
この本は、自然に近い生活を送るために、食のこと、生活のこと、環境のこと、医療のことについて、網羅的に、コンパクトにまとまっている。何か困った時に、この本で調べて勉強し、興味を持った分野に関しては、専門書を買ってディープな世界に自分で入っていけばよい。
先生はこの本の中でこのように語っている。
「衣食住、医療、農、政治、経済、教育、仕事…。ありとあらゆる分野で、現代文明のほころびが広がっており、それが次々とあきらかになってきています。それは、みんながしていることが「大丈夫ではない」からではないでしょうか? 私はこれらの問題の根本は、共通していると思っています。自然の摂理に反していることが、本質的な問題なのです。」
「自然に沿ったものごとを選択するときに大切したいこと。それは『生物的、空間的、時間的に、本当にそれがいい選択なのか?』ということです。そして選択すべきなのは、今の自分からどんどん範囲を拡大していったときに、どこまで拡大してもずっといいものです。」
「自分にだけ都合がいいことよりも、自分にも家族にも、日本人にとっても、世界中の人にとってもいいと思われることをすればいいのです。」
「自分のためだけでなく、あらゆる人や生物、ものを思いやる暮らし方。だれもが希望にあふれた未来。想像しただけで豊かだと思いませんか? 本書は、そのような社会をつくっていけたら、という希望を込めて書き上げました。」
私も東洋医学を通じて、このような世界を作っていきたい。
自分の治療院「自然なからだ」を作る時に、この本が傍らにあった。
私にとっては治療院の原点となる本である。
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