「知らない」と気付いた。それは「知りたい」のはじまり。

ハリトヒト。代表の津田に
「大阪・塚本に『探偵ナイトスクープ！』に出演したことがある鍼灸師の先生がいるんだよ」
と伝え聞いた、編集長 さまんさ。

しかも
「御年72歳。臨床しながら、学校の講師を長く勤めていて、今も両方現役でいらっしゃる。」
とのこと。

「すごい先生！ インタビューをするしかない！」とワクワクでお伺いしてきました。

藤川 直孝（ふじかわ なおたか）先生

1947年　大阪市生まれ
1975年　大阪鍼灸専門学校（現森ノ宮医療専門学校）卒業
1975年　大阪労働衛生センター第一病院東洋医学科　入職
1984年　同院を退職し、藤川鍼灸院を開業し現在に至る。
2001年　森ノ宮医療専門学校で非常勤講師として現在に至る。
2008年　森ノ宮医療大学で兼任講師として現在に至る。

痔がきっかけで「鍼灸のほうがオモロいな」と思ってしまったんですわ。

藤川先生

えっと…。ぼくは1975年に専門学校を卒業したんやったかなぁ。

1975年…！ わたしが生まれる5年前ですね。

さまんさ

藤川先生

ぼくね、大阪鍼灸専門学校、いまの森ノ宮医療学園専門学校の1期生なんですよ。

へえ、すごい！ 伝統校の1期生じゃないですか。

さまんさ

藤川先生

いや、別にたいしたことないんやけど（笑）。

その頃の鍼灸業界の時代背景ってどんな感じなんですか？

さまんさ

藤川先生

ちょうど、「鍼麻酔ブーム」がきた頃ですわ。

アメリカ大統領のニクソンが中国で開胸手術を見学したっていう。

さまんさ

藤川先生

そうそう。その時に帯同していたNYタイムズの記者が、「鍼麻酔を受けた患者が、手術中にコチラの方を見て手を振った！」っていう記事を書いたんです。

ひゃあ。

さまんさ

藤川先生

その記事で、全米に「鍼」というものが一気に広がってね。
その余波を受けて、日本でもブームが始まったのが、ちょうど1975年くらい。

わたしたちが「はりきゅう理論」で習ったお話を、実際に目の当たりにしたんですね。
ちなみに先生は元々鍼灸師になりたくて、学校に通ったんですか？

さまんさ

藤川先生

いや、そんなん全く思ってへん（笑）。

えぇっ（笑）。

さまんさ

藤川先生

ぼくは元々、当時の電電公社、今でいうNTTに9年勤めてたんですわ。

エリートサラリーマンじゃないですか。

さまんさ

藤川先生

そうそう（笑）。で、サラリーマンのぼくにね、大阪医科大学の麻酔科で鍼灸部門の主任をしていた河内明くんっていう幼友達が、「今度こんな学校ができたから、あんた試験受けてみーひんか？」って言うてきたんです。

いきなりですね（笑）。どういう経緯ですか？

さまんさ

藤川先生

「将来定年になったときに、なんか手に職があったほうがええんちゃうか」って。

あー、なるほど。

さまんさ

藤川先生

そのとき、本試験は終了していて、若干名の補欠の募集があって。

本試験が終わってるのに、誘ってきはったんですね（笑）。

さまんさ

藤川先生

それが2〜3名の募集やのに、試験会場に行ったら、ようけ受けに来とんねん（笑）。
もう落ちたわー！って思いましたわ。

しかも定員オーバーしてたんですね（笑）。
で、結果は…？

さまんさ

藤川先生

それがね、合格してしまったんですわ（笑）。

すごいじゃないですか。

さまんさ

藤川先生

今思ったら、河内くんが手をまわしたんかな（笑）。

いやいや（笑）。

さまんさ

藤川先生

まぁ、合格したら行かなあかんから、行くでしょ？

はい。

さまんさ

藤川先生

夜間部やから、会社が終わってからね。

はい。

さまんさ

藤川先生

ほな、全然オモロないねん（笑）。

あはははは（笑）。

さまんさ

藤川先生

いまでいう「東洋医学概論」、当時の「漢方概論」っていう授業がねぇ、全くオモロないねん。
で、いつも後ろで寝ててん。

せっかく合格したのに（笑）！

さまんさ

藤川先生

夜間のクラスやから、みんな寝ててな。
「代返」って知ってる？ 順番交代で、誰かが返事するねん。
自分も声色を変えて（笑）。「はい〜」「は〜い↓」「はいっ↑」みたいな感じ。　

（笑）。

さまんさ

藤川先生

ちなみに当時は2年半、学校に行ったらよかったんです。
都道府県知事の免許やったから。

あ、そうですよね。
今回の国家試験で27回目だから、当時は国家試験の資格じゃなかったと。

さまんさ

藤川先生

そうそう。でね、あれは2年生の時ですわ。
電電公社の仕事の影響でね、痔になってしもたんです。痛みと出血があって。

えっと…、これ書いていいやつですか（笑）？

さまんさ

藤川先生

かまへんよ（笑）。

（笑）。

さまんさ

藤川先生

ほんで、痛いなぁと思って鍼灸の本を読んでたらね。

はい。

さまんさ

藤川先生

肺経の郄穴の「孔最」ってあるでしょ？
痔のときは、そこにお灸をしたらいいって書いてあったんです。

へぇ！

さまんさ

藤川先生

「切れ痔に孔最、脱肛に百会」って書いてあんねん。

うんうん。

さまんさ

藤川先生

で、両方の孔最に25壮ずつ、お灸を据えてみたんです。
ほな翌朝、トイレでドバー！と出血があって、それから痛みと出血が無くなったんですわ。

おおー！

さまんさ

藤川先生

「これはスゴイ！！！ なんで手と肛門が関係あんねん!？」とビックリしてね。

実体験ですね（笑）。

さまんさ

藤川先生

「これは飯食えるぞ！」って感動して、鍼灸にやっと興味を持ったんです。

ある意味、効果絶大じゃないですか（笑）。

さまんさ

藤川先生

で、電電公社を辞めて、鍼灸師になったと。

…なんかもったいないですね（汗）。

さまんさ

藤川先生

せやろ…（笑）。電電公社の仕事は自分に向いてるって思ってたし、全然きらいとかイヤとかじゃなかったのに…。
でも、「鍼灸のほうがオモロいな」と思ってしまったんですわ。

オモロさを優先…（笑）。

さまんさ

藤川先生

辞める時に「今度会社に遊びに来るときはポルシェに乗って来るわ！」って言うたんやけど…。

どうでしたか？

さまんさ

藤川先生

日産のNOTEやな（笑）。

ええ車ですよ（笑）。

さまんさ

藤川先生

ま、鍼灸で大金持ちになるのは無理ですわ（笑）。

あはは。

さまんさ

藤川先生

でもな、鍼灸はオモロいわな。

猪飼先生もインタビューで言うてはりますね。

さまんさ

藤川先生

そうでしょ（笑）。鍼灸はオモロいねん。

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