先人の想いを伝えたい/鍼灸師:加畑 聡子

古典って、読めば読むほど難しい

『黄帝内経』って『素問』と『霊枢』の2冊のことですよね。どちらを先に読んだらよいのでしょう。
タキザワ
タキザワ
加畑先生
加畑先生
私は『素問』派ですね。『素問』は生理、衛生、病理などの医学理論について書かれています。季節ごとの過ごし方や、心の持ち方など、養生についても書かれていますよ。
『霊枢』はどんな本ですか。
タキザワ
タキザワ
加畑先生
加畑先生
鍼や経穴、経脈、診断、治療など、臨床に役立つ実践的な内容が多いです。だから『霊枢』から読むべきという先生もたくさんいらっしゃいます。
結局、どっちを先にしたら…。
タキザワ
タキザワ
加畑先生
加畑先生
正解はわかりません(笑)。
学生時代から細かく深いところまで読めましたか。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
いえ、当時は知識がないなりに、同級生と楽しくノリで読んでいましたね(笑)。
最初はそれで良いんだと思います。ただ、よく学生さんに「『黄帝内経』を読むなら、どういう本を選べばいいですか」って聞かれるんですけど、そのときは「原文と書き下しの両方が載っているものを読んでください」って答えています。
それはどうしてでしょう。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
つい現代語訳を読んで、そのまま鵜呑みにしてしまいがちですけど、意訳によって原文にはないことが書き加えられていることもあります。
最初から原文を読むのは難しいですし、訳から読み始めることは当たり前なんですが、本当に書いてあるのか、原文を確認しながら読むと、より忠実に意味がとれると思います。
最初から『黄帝内経』を楽しく読めた理由が気になります。なにか思い当たることはありますか。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
『黄帝内経』をすごいものとして扱わなかったのが、かえって良かったのかもしれません。
知識がなかったので、あまり身構えずに入ることができました。
そういうものですか。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
古典って、読めば読むほど、その奥深さや先人のすごさを痛感します。
私は大学院で漢文を学びましたが、やればやるほど自分の未熟さに気付きました。たいして知識のない時の方が読めている気がするんですよ。
わからないことが、わかっていなかった。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
まさに、そうです。知らなかったから取り組めたのでしょうね。ただ普通の本として入れたんだと思います。
知らないからこその強みもじつはあるので、古典を敬遠せず、とりあえず手に取ってみると、新しい世界が開けるのかもしれませんね。

日本内経医学会との出会い

教員養成科にいこうと思ったのは、なにかきっかけがあるのでしょうか。
ゆうすけ
ゆうすけ
加畑先生
加畑先生
専門学校に入る前から進むつもりでした。中学生ぐらいから、どんな分野に進んだとしても、教育に携わりたいと思っていたので、教員養成科に進んだのは自然な流れでした。
教育にも興味があったのですね。
ゆうすけ
ゆうすけ
加畑先生
加畑先生
母校で古典を教えることも夢だったんです。母校に限らずですが、もっと鍼灸学校で古典や医学史を学ぶ機会を増やせたらって思っています。
日本内経医学会との出会いはどのように。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
普通にインターネットで検索して入会しました。ちょうど鍼灸学校を卒業した頃ですね。
3年間、古典を独学した後に入ってみていかがでした。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
衝撃的でした。
本当に恥ずかしいことですが、入会するまで自分はすごく『黄帝内経』を読んでいるって思い込んでいたんですよ(笑)。まさに井の中の蛙でしたね。
すごい先生がたくさんいらっしゃった。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
ええ、かなりマニアックで。
そういうベテランが集っているイメージです。これから『黄帝内経』を学びたいと考えている若手に、入りにくいと思われているかもしれませんよ。
ツルタ
ツルタ
加畑先生
加畑先生
でも本当に尊敬できる先生方ばかりで、温かい人が多い家族のような会です。それに運営は若手を中心に担っていたりします。
古典って独学では難しい部分も多いので、興味がある方はぜひ会の事務局に連絡してみてくださいね。

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