より社会に貢献するために
小池先生
地元の人も歩かないような路地裏に1店舗目を出したのが、開業のスタートです。当初のスタッフは3人でした。保険の治療もおこなっていましたが、途中で自費でのトリガーポイントへの鍼治療に完全に切り替えましたね。
それだけトリガーポイント鍼治療が効果的だったということでしょうか。
ゆうすけ
小池先生
驚くほどでしたね。トリガーポイントを押さえながら、鍼を打つようになってから、どんどん患者さんの紹介も増えていって。「自分ができることは、これだったんだ!」と思いましたね。
自分の強みが明確になったんですね。開業当初から、多店舗展開は意識されていましたか。
ゆうすけ
小池先生
意識していました。社会貢献を目標とすれば、質の高い治療院は多いほうがいいですよね。ただ問題は技術です。
スタッフに伝えていかないといけませんものね。
ゆうすけ
小池先生
トリガーポイントって鍵と鍵穴の関係なんですよ。だから正確に押手を作らないと入っていかない。違う角度で当ててもダメなんですよ。重積化したファシアをしっかりと捉えて、圧をしっかりとかけながら刺入していく必要があります。
スタッフ教育に力を入れる必要があった。
ゆうすけ
小池先生
そうなんです。だから、まずは正しい押し手から徹底して指導していきました。効果を出すトリガーポイントに刺鍼する角度についてもマニュアル化しています。技術の指導は一切妥協なしで、できるまで現場には出しません。今は28人ほどの従業員がいますね。
鍼灸師の雇用を生んでいるという意味でも、社会に貢献していますね。
ゆうすけ
小池先生
痛みを取る王道の鍼灸院として、こうして多店舗展開できているのは、すごく誇らしいことだと思っています。
治療院名に込められた経営理念
先生のこれまでの道のりに、勇気づけられる若手は多いと思います。「鍼灸は稼げない業界だ」と日々、周囲から言われている学生たちに向けて、メッセージをいただけますか。
ツルタ
小池先生
稼げないのは、それだけの価値を提供できていないからにほかなりません。業界の景気を嘆く暇があったら、自分の価値を高める努力をしたほうが有意義ではないかと私は思います。
「自分にはそんな価値はない」と感じてしまっている学生も多そうです。
ツルタ
小池先生
学生の頃は当然そうだと思います。進むべき道が分からない状況では力も出ませんし、失敗したくないという気持ちがあればブレーキになってしまいます。だからこそ、どんな方向性ならば打ち込めそうかを、学生時代に考え抜いて日々実践していくことが大切です。そのなかで、治療家として自分なりの方向性が見えてくるはずです。
先生もトリガーポイントの鍼治療に辿り着くまでに、紆余曲折ありましたものね。
ゆうすけ
小池先生
学生の頃は、とにかく何者かになりたくて……。自分が生きる意義みたいなものがほしくて、わかりやすいかたちでの成功を目指したんだと思います。
原動力はなんでもいいのかもしれませんね。突き進んで壁にぶつかれば、そのときに軌道修正すればいいわけですし。
ゆうすけ
小池先生
鍼灸師は特に職業上の特性として、どんな動機で始めても、突き詰めていくうちに、必ず誰かに寄り添う「利他」の姿勢に辿り着くと思います。スタッフにはいつもこう言ってるんです。「正しい押し手をつくれば、よい鍼が打てる。よい鍼で患者さんを救えるようになったら、患者さんの人生だけじゃなくて、自分の人生も豊かになるよ」って。結局はそこに行きつくかなと。
先生の活躍は、鍼灸業界全体の刺激になりますから。これからも期待しています。
ゆうすけ
小池先生
治療院名の「TRIGGER」には「人生の転機になる」という理念を込めました。患者さんにとって人生の転機になり、働く治療家にとっても人生の転機になる。店舗がどれだけ増えても、そんな場所を目指す姿勢は貫きたいですね。
【記事担当】
取材 = ゆうすけ・タキザワ・ツルタ
撮影 = ツルタ
文 =なるみさわ
編集 = くちやまだ
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