「知らない」と気付いた。それは「知りたい」のはじまり。

地域の企業からしますと、相談先や意見の集約先ですね。全国に515あって、それぞれ各地域を盛り上げて中小企業の役に立てるように活動をしています。
フランス発祥の仕組みで、日本では、江戸時代に欧米列強と締結した不平等条約を覆すために1878年に渋沢栄一翁が創設したのが始まりです。よくご質問いただくのは、「商工会と商工会議所って何が違うんですか？」っていうものですね。

名前は似ているんですが、実は違います。市区町村の中でも「市」を主に活動地域としているのが商工会議所で、「町」、「村」を主に活動地域としているのが商工会なんです。ですので、どこで鍼灸院を開業するかによって、ご相談先が変わります。商工会は地域密着の企業支援、商工会議所は企業支援のほか政策提言など幅広く活動を行っています。

無事に移転が完了して何よりです。

そうですね。特に地方の商工会議所は、地元に住んでいる方がそのまま就職しているケースも多いと思います。

新聞には掲載されないような、地域のミクロの情報を知っていると思います。掘り下げていろいろ聞いていただくと、面白い話ができるんじゃないでしょうか。

メリットは主に3つあると思っています。
1つ目は、経営や補助金に関するお得な情報が入手できる事です。例えば、東京商工会議所でしたら会員限定のセミナー（補助金申請やSNS活用など）を実施しており、大変人気です。
その他、資金繰りや補助金、法律・労務など経営に関する相談先がより身近に感じられるようになると思います。個人で創業されて手探りで経営されている方が多いと思いますので、これは結構大きいかなと。
2つ目は人脈です。これは東京ならではの強いニーズかもしれませんが、仲間や知り合いがいないというのをよく聞きます。商工会議所が開く交流会などのイベントに参加することで、地域のほかの経営者の方と出会える可能性があるでしょう。
3つ目は、共済制度などの商工会議所が提供するサービスを利用できるところだと思います。

企業の経営に必要なのは人、モノ、金、情報と言われますが、特に情報は積極的に提供しないといけないと考えています。東京商工会議所では情報発信にYouTubeも活用しているんです。SNSや動画サイトでは最新ではない情報や、誤解を招くような表現・内容のものもありますので、商工会議所が正しい情報を発信し、より経営者の方の目に止まりやすい方法でアピールしないといけないと思います。

お伝えしたいのは、本当に正しい情報源で間違いのない情報を取っていただきたきたいということですね。回り道をしているように感じられるかもしれませんが、その方が近道になるでしょう。知らずに損をしていることがあるかもしれません。補助金自体が全国で数千以上あるといわれているので、1つの情報を知らないだけで、50万円、100万円の機会損失につながってしまうことがあるんです。

そうですよね。だから何かものを買うときや、やりたいことがあるときには相談先に聞いてほしいと伝えるようにしています。
例えば開業する時に「特定創業支援等事業」という制度を使用すると、個別創業相談のほか、さまざまな支援を受けることができます。創業時は各支援機関からのサポートを受けやすいタイミングですので、開業を検討し始めた段階で、まずは相談にお越しいただくと良いか思います。

まず開業していないと、原則として商工会議所自体に入れないんです。ただ、ご相談自体は未創業の方でも、対応しています。学生の方の相談も可能です。

早ければ早いほど打ち手はありますね。
先ほど補助金のお話を少しさせていただきましたが、補助金によって申請の難易度は大きく異なります。例えば、小規模事業者持続化補助金であれば初心者の方でも取り組みやすいボリューム感で申請が可能ですので、私でも相談に乗ることができます。一方で、初めて補助金申請される方にとっては、申請書のなかで記載しなければならない項目が多いものなど難易度が高い補助金もあります。

難易度の高い補助金のご相談は、東京商工会議所の場合は専門の担当がいて、申請まで一定期間相談・アドバイスすることが可能です。特に費用もかかりません。
ただ補助金の申請に関してお伝えしたいのは、事業計画書をまずご自分で書いてみてほしいということです。例えばお付き合いのある税理士の先生などに事業計画書を書いてもらうこともできますよね。でも、そうしてしまうと何もノウハウが社内に残らないので、社外の方にお願いする前提で考えないでほしいと思っています。

そうなんです。事業計画書が書けると、銀行からお金を借りる時、重要な取引先へ自社について説明する時など、説得力やプレゼン力が全然違うと思います。

鍼灸院を開業される場合にも、開業後にもチラシや、待ち時間で読んでいただく冊子など、いろんなところに活用できると思います。開業してからは、毎日の営業で忙しくて経営計画のことを考える時間をうまく取れないことが多いと思うので、創業前はすごく貴重な時間になるのではないでしょうか。計画通りに進む、進まないは別にして、後悔しないようにじっくり検討することが大事だと思います。