自信はあったけど、うまくいかない
武田先生
研修先の北海道で妻と出会いました。
よかったらその話も聞かせてください。
ウラベ
武田先生
妻は、院長の弟子が経営する院に勤めていて、仕事の関係で知り合いました。
ぼくは、2年間の研修を終えたら、神奈川に戻って開業する予定だったので、プロポーズして一緒に来てもらったんですよ。
ぼくは、2年間の研修を終えたら、神奈川に戻って開業する予定だったので、プロポーズして一緒に来てもらったんですよ。
すてきですね。それから夫婦で開業ですか?
ウラベ
武田先生
神奈川に帰ってきた当初、ぼくは自宅開業で妻は外で働く予定でした。
それが、自宅兼店舗の物件を決める日に、妻から「子どもができた」と連絡があったので。これは「2人でやるしかないね」ってことになりました。
それが、自宅兼店舗の物件を決める日に、妻から「子どもができた」と連絡があったので。これは「2人でやるしかないね」ってことになりました。
収入面の不安はありませんでした?
ツルタ
武田先生
研修直後は妙に自信があったんですよ。なんとかなると思ってそのまま開業しました。
もともと自宅兼店舗にする予定で物件を探したんですか?
ツルタ
武田先生
はい。専用のテナントを借りるよりお金はかからないし、人を雇うつもりもなかったので。
開業してみて、どうでした?
ツルタ
武田先生
それはもう、ぜんぜんダメでした。
東方鍼灸院で修行した自信があったので、ショックでしたね。
どんな患者さんが来ても大丈夫だと思っていたのに、そもそも患者さんがほとんど来なかったっていう。
東方鍼灸院で修行した自信があったので、ショックでしたね。
どんな患者さんが来ても大丈夫だと思っていたのに、そもそも患者さんがほとんど来なかったっていう。
ああ…。
ツルタ
武田先生
それに北海道時代と同じように施術をしても、結果がついてこなくて。
あれ? 陰陽太極鍼は、誰でも効果がだせる治療じゃないんですか?
ツルタ
武田先生
本来はそうです。
患者さんにやり方を教えて、セルフケアにしてもらうくらいシンプルなので。
患者さんにやり方を教えて、セルフケアにしてもらうくらいシンプルなので。
それなのに、どうしてうまくいかなかったんでしょうか?
ツルタ
武田先生
うーん、なんだったのか。おそらく患者さんが来なくて、自信をなくしていたのが原因だと思います。
研修中はうまくできてたんですよね?
ツルタ
武田先生
そうです。だから次第に「東方鍼灸院の看板で治療させてもらっていたから、ぼくにも効果が出せていたんじゃないか」って思うようになりました。
患者さんからの信頼は、長年やっている安心感や治療の実績から生まれるんじゃないかなとか。どうにもならないことで悩んだりしてました。
患者さんからの信頼は、長年やっている安心感や治療の実績から生まれるんじゃないかなとか。どうにもならないことで悩んだりしてました。
開業初期のつらいところですかね。
ツルタ
武田先生
それに売上が悪いと、治療もうまくいかないんですよ。
次の来院につなげることばかり考えてしまって、焦りや不安から、本来の力を発揮できなくなってしまうのだと思います。
お金の心配をしながら臨床するのは厳しいですし、そういう気持ちじゃ患者さんに失礼ですね。
次の来院につなげることばかり考えてしまって、焦りや不安から、本来の力を発揮できなくなってしまうのだと思います。
お金の心配をしながら臨床するのは厳しいですし、そういう気持ちじゃ患者さんに失礼ですね。
なんだか悪循環にはまってませんか? これは悩ましい。
ツルタ
武田先生
ひどかったです。開業したけど患者さんは来ない、お金はなくなっていく。でも子どもは産まれてくるので、生活のために稼がなきゃいけないって。
それを、なんとかしたんですよね?
ツルタ
3度目の正直
武田先生
じつは開業1年目で、資金が尽きてしまったんです。
あらら。
ツルタ
武田先生
国からお金を借りて、運営の資金にしました。それから、ちょっと経営の勉強も始めました。
気持ちを入れ替えて、再出発?
ツルタ
武田先生
はい。…で、そのあと、また資金がなくなってしまって。
えー!
ツルタ
武田先生
もう辞めようかなって思いましたけど、今度は親に援助してもらって。
今はなんとか自立してやれるようになりました。
今はなんとか自立してやれるようになりました。
よかった。経営が上向きになったのはなぜですか?
ツルタ
武田先生
相手を知ろうとする姿勢がなきゃだめって気が付いたからでしょうね。その人の悩みとか、求めていることを引き出していくような関わり方をするのはとても大切ですね。
ぼくはそこが出来てなくて、「こうしたい」という自分の思いを優先してました。
ぼくはそこが出来てなくて、「こうしたい」という自分の思いを優先してました。
優先していた「こうしたい」というのは?
ツルタ
武田先生
鍼の技術でからだを変化させることです。
患者さんの身体面は診ていたけど、精神面までは診れていなかったということですね。
患者さんの身体面は診ていたけど、精神面までは診れていなかったということですね。
接し方を変えてみてどうでした?
ツルタ
武田先生
満足してくれるようになったと思います。少なかった口コミや家族の紹介が増えてきました。
不思議なことに、売上が安定してくるにつれて、治療の結果も出るようになったんですよ。
不思議なことに、売上が安定してくるにつれて、治療の結果も出るようになったんですよ。
技術的には変えてないのにですか?
ツルタ
武田先生
そうです。技術だけが治療の結果を決めるわけじゃないようですね、やはり施術者は精神的な安定も必要なんだと思います。気持ちに余裕がないと、いい鍼灸はできないってことがわかりました。
幸せのとらえ方
生活面は、どんな感じですか?
ウラベ
武田先生
患者さんが来なかった頃は、とにかく時間がたくさんあったので、2人で映画を観たり、カフェ巡りしたりとか。
仲いいですね。
ウラベ
武田先生
あとはお互い家にいるので、負担が偏らないように家事を協力してやっています。
お子さんが生まれてからは、育児も一緒に?
ウラベ
武田先生
保育園の送迎はしています。まわりはお母さんばかりですけど、気にならなくなりました。子どもの成長は見守れていると思います。
自営業でよかったことはありますか?
ウラベ
武田先生
そうですね。保育園のイベントは平日が多いんですけど、予約を調整すれば参加できちゃうのはいいですね。
最近は新型コロナウイルス感染症の影響で保育園も休みなので、予約のない時間は庭で一緒に遊んだりしてますよ。
最近は新型コロナウイルス感染症の影響で保育園も休みなので、予約のない時間は庭で一緒に遊んだりしてますよ。
それって価値ある暮らし方ですよね。
ツルタ
武田先生
そう思います。そうすると、売上のとらえ方も変わってくるというか。
ある程度のお金は必要だけど、そこまで収入にこだわることもないかなって思うようになりました。
ある程度のお金は必要だけど、そこまで収入にこだわることもないかなって思うようになりました。
気持ちに余裕がないと、いい鍼灸はできないって話につながりそうですね。
ツルタ
武田先生
はい、つながると思います。家族で幸せに暮らすことが、ぼくの活力なので。
3人で過ごす時間を大切に、せかせかしないで生きています。
3人で過ごす時間を大切に、せかせかしないで生きています。
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