求めていた理想は「自らの手による医療」/鍼灸師:足立 繁久

大阪大学のドクターと東洋医学を介して、難病治療を行っています

大阪大学でも研究や外来患者さんの治療に携わっていらっしゃいますよね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
大阪大学大学院医学系研究科の「先進融合医学共同研究講座」ですね。
萩原圭祐先生のもとで特任研究員として関わっています。
萩原先生はどのような方なんですか?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
すごく面白い方ですよ。
てい鍼を紹介したら、興味を持たれたんですよね。
ご自身でもてい鍼を購入して、ご自身で治療をされているんですよ。
ドクターがてい鍼を使うんですか!
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
3分座っていられない、杖つかないと歩けないような脊柱管狭窄症の方が、てい鍼の治療でじっと座ったり、杖なしで歩けたりするようになるんです。
ドクターなりに鍼灸をわかってくださるんですよね。
鍼灸をわかってくださるドクターに出会えるって羨ましい!
足立先生のように、ドクターとの関わりを持ちたいと考える鍼灸師って多いと思うんですが、萩原先生との出会いはどのような経緯だったんですか?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
その講座には、もう1人、中田英之先生という漢方医の方がいらっしゃって。
その方は望診が得意なんです。
ぼくは以前、中田先生の治療の見学に月1回くらいおじゃましていて。
中田先生はどんな治療をされるんですか?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
パイオネックスと漢方ですね。
漢方が主ですが、診察中に身体を動かすときに経穴やパイオネックスを使います。
そうすることで心身の変容を促し、漢方をより効果的に効かせるという、戦略的な治療の組み立て方が面白い先生なんです。
へえ!  医師でそんなふうにされる方がいらっしゃるんですね…
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
その中田先生が「ネットカンファレンスというのをやるよ」と誘ってくださいました。
当時、練馬総合病院、千葉大学、大阪大学の3つの病院で、インターネットで繋がって、症例報告をしていて。
漢方医の方たちでですか?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
漢方医が主ですが、鍼灸師もいますよ。
そのネットカンファレンスに月1回通っているうちに、萩原先生と色々話すようになって。
共通点が多いこともあり、外来で臨床させていただくようになりました。
漢方医のネットカンファレンスに鍼灸師が参加する。
それってハードルが高そうですよね?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
このネットカンファレンスは現在も2ヶ月に1回行われていて、希望すれば参加できるんですよ。
鍼灸師は5000円、ドクターは10000円の年会費が必要です。
えー! 私も行ってみたい。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
誰でもウェルカムですよ。
漢方医の先生って鍼灸師に好意的な方が多いんですよ。
そういうドクターと関わりを鍼灸師は持ったほうがいいですよ。
私も「ドクターと関わりを持ちたい!」って思うんですけど、どうしたらドクターと関わりが持てるのか、若手だとわからなくて…。
こういう情報ってすごくありがたいです。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
うんうん。
あ、でも、こういう関わりを持つためには、ひとつ前提があるってのは覚えていてほしいかな。
前提?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そう、共通言語が要るってこと。
あー、そうですよね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
まず漢方の知識。
うんうん。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そして、「漢方の効果」を「鍼灸の効果」に翻訳し直す知識。
専門学校で習う知識では足りないんですね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
たとえば葛根湯が「身体の中でどういう風に気血に影響しているのか」ということを知ったうえで、それと同じような効果を出すためのツボ選び、治療法を提案できないといけない。
やはりハードルが高い…!
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
でも、けっきょく鍼灸師は鍼灸師のできることを極めるしかないんですよ。
鍼灸師は漢方薬は処方できないですからね。
ドクターたちは毎日、数十人の患者さんを診ているので、経験的に敵うわけがない。
んー、では、どういったときに、ドクターから鍼灸師の知識を求められるんですか?
漢方の効きが狙ったとおりにならないなあという時ですか?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そういう時もあるね。
あと、鍼灸師ならではの、経穴や経絡の知識やその治療経験が必要とされるときですね。
漢方とは違った視点で人体を診れるんですよ。
漢方でイメージする動きが、よりダイナミックになるような?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そうそう。そこで大事なのは、やはり東洋医学共通の、「生理学」と「病理学」の知識や言語でドクターに説明すること。
漢方の知識、鍼灸の知識を踏まえたうえで、それぞれ生理学的に、病理学的に解説する必要があると。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そのとおりです。
「陽明を動かした方が良い」などの、現代医学にはない、東洋医学的な言語が必要なんです。
目指すところは一緒だから、手段として漢方だったらこう、鍼灸だったらこう、っていう提案をし合えるんですね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
「鍼灸と漢方では治療の入口は違うけれど、身体を動かす方向性や結果は同じ」という感じですね。
こちらは「なるほど、漢方医の先生方はこんな風に人の身体を診ているのか!」と勉強になります。
視野が広がりそうですね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
反対に、漢方医の先生方にも、「鍼灸師はこんな風に人の身体を診ているのか!」と思ってもらえるほどの知識や知見が必要なんです。
そういう意見交換ができて初めて「知識を臨床で活かしてみませんか?」というお誘いがくるということなんですね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そう。教えてくださいという受け身の人は、ドクターには必要とされないわけで。
カンファレンスですものね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
ま、全員が全員「ディスカッションできない人は来たらダメ」というわけではないですよ(笑)。
むしろ勉強したい人はウェルカムです。
ぼく自身は、そういうところを意識した結果、臨床に呼んでいただけたのかな、と考えています。
いつから外来で治療を担当されているんですか?
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
2018年の5月ですね。
阪大病院の漢方鍼灸外来だと、自分の治療院で診れない患者さん層が診れるんですよね。
今は、がんの方、自己免疫疾患の方、パーキンソン病の方を中心に担当させていただいています。
いわゆる難病ですよね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
鍼灸はね、けっこう「著効」・「有効」例が多いんです。
ほかに症例を表現するのに「不変」「離脱」があるんですが、「離脱」は少ないんですよ。
続けてくださる患者さんが多いんです。
すごいですね、可能性がすごくある。
鍼灸への期待値が高まるような。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
ぼくの場合、「足立鍼灸治療院は、産前産後の女性、小児を中心に診ています」とインターネットなどで書いてあるので、「足立は産前産後の女性と小児しか診られへんのやな」と思われるわけです。
特に先生の治療院のサイトは特化されていますもんね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
個人的にはそう思われていてもいいんですけど(笑)。
でも、勉強会で教える立場である限り、産前産後の女性や小児だけじゃなく、他の疾患についても語れることは明らかにしたいわけです。
生徒さんには、安心して受講してもらいたい。
学会で登壇される際も、そういった印象を持っている方は多いかもしれませんよね。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
もちろん、産前産後の女性や小児の治療をとおして、普遍的に学べることはたくさんあるんですが。
フィールドを変えてもそれが通用するぞと。
さまんさ
さまんさ
足立先生
足立先生
そうです。そして、ぼく自身が身一つで、それを証明したいなと思って、阪大病院の難病の方の治療にあたらせていただいているんです。
勉強会に来ている先生方も、ぼくががんやパーキンソン病に対して、有効な治療ができていると聞けば、受け取り方が変わるかなって。

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