自分の可能性をみつければ、次の形が見えてくる/鍼灸師:橋本 由紀子

四谷→吉祥寺:うつ病になりました

鍼灸の資格を取ってから、どこかにお勤めなさいましたか?
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
卒業したあとは、高野耕造先生のところで勤務していました。
東京医療専門学校で講師もなさっている先生ですね。
私も実技を教えていただきました。たしか吉祥寺に治療院がありましたね。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
そうです。
高野先生の治療院は患者さんが多くて、とても人気の院でした。
そこでは、何年ぐらい働かれてたんですか?
ゆうすけ
ゆうすけ
橋本先生
橋本先生
4年半くらいです。次第に責任のある立場になったんですよ。
それはよかったですね。
ゆうすけ
ゆうすけ
橋本先生
橋本先生
あるとき、一気に後輩が辞めてしまったことがあって。
もともと自分が担当している患者さんでいっぱいだったのに、後輩の受け持っていた患者さんも引継がなきゃいけない状況になるんですけど。
それが、プライベートでも大変だった時期と重なってしまって、私、うつ病になったんです。
(うなずく)
ゆうすけ
ゆうすけ
橋本先生
橋本先生
仕事は減らしてもらったんですけど、具合は全然よくならなくて、退職したという経緯があります。
ちょっと、忙しすぎましたか?
ゆうすけ
ゆうすけ
橋本先生
橋本先生
仕事だけなら大丈夫だったと思います。
当時、結婚していたんですけど、夫婦の問題があって、両方とも扱わなきゃいけなかったのが難しかったのかな。
退職後は、少しずつ回復していったんですか。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
幸いなことに、良い精神科医とカウンセラーに出会えて、うまく回復することができました。
それでも、本当にパワーが戻るまでには2年ぐらいかかりました。
なるほど…。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
離婚するみたいな話は出ていたんですけど、そのときは、これからも結婚生活を続けていくと決めました。
それで「子どもほしいね」ってなって、うつ病からは完全回復しないまま、妊娠したんです。
結果的に、うつ病のつらさをつわりで忘れた感じでした。

三郷⇔溜池山王:母が病気になってしまったんです

ご出産後は、育児に専念していたんですか?
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
産後は育児をメインにして、鍼灸はたまに往診をするくらいでした。
それで、子どもが1歳後半になった時に、柔整師だった元夫(当時は夫)が接骨院の雇われ院長をやることになって、私に鍼灸部門をやってみないかって、声をかけてくれたんです。
接骨院の場所は?
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
埼玉県の三郷(みさと)です。東京にも通勤しやすいベッドタウンで、農家さんや地元の人も多い町ですね。
最初の1カ月は、母に子供を預かってもらって、私も溜池山王の実家から三郷に通う生活をしていました。
それで、仕事がちょっと落ち着いてきたので子どもと一緒に自宅に帰ったら、急に母の具合が悪くなってしまって。
お母さまが…。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
それでまた子どもを連れて実家に戻って、週3日は三郷に通う生活をおくることになりました。
人生はいろいろありますね。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
フルタイムでは働けなくなったので、ママ友にお灸講座や、親子でできる小児はりを教えることにしたんです。
続けていくうちに、知り合いやコミュニティから、うちでもやってほしいという声がかかるようになって、月に2~3本セミナーをするようになりました。
バリバリ働けなくなったからこそ、新しい道がひらけた感じですね。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
以前、高野先生のところで働いていたときに、院内でマイスター制度を作ろうという企画があったんです。
私は生理痛の担当で、最初は詳しく知らないことでも、症例が集まってくるうちに自然と知識が増えて、専門性が深まってくるのが分かりました。
その経験が、小児はりのセミナーや、今の副鼻腔炎専門鍼灸院にもつながっているような気がします。
副鼻腔炎の専門性を深めたきっかけも教えていただけますか?
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
三郷で働いていたときのママ友に、副鼻腔炎の人がいたんです。
2回手術をしたけど治らなくて、3回目の手術すすめられている状況でした。
「幼児を2人抱えた状態で、できれば入院したくない。鍼灸で副鼻腔炎は良くなる?」っていう相談を受けたんですよね。
ふむふむ。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
それで鍼灸をしたらとても良くなって、手術をしなくて済んだんですよ。
そのことをブログに書いたら、今まで来ていた患者さんの中にも副鼻腔炎だった人がたくさんいたことがわかったんです。
「実は私も副鼻腔炎なんですけど」って?
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
そうそう。
鍼灸院に通っていても、鍼灸が副鼻腔炎に効果あるって知らない人が多くて。
それなら一般の人には、もっと知られていないはずと思って「副鼻腔炎と鍼灸」っていうブログを書き始めました。
そうしたら副鼻腔炎の患者さんが、どんどん来院するようになってきたんです。
それが副鼻腔炎に特化した鍼灸院になるきっかけですかね。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
「特定の疾患をブログに書くってどうなの?」みたいな気持ちもあったんですけど、一般に広く知ってもらうことの方が大切だと思ったので。
ブログにすることで、同じ症状や悩みを持つ人たちが、橋本先生の元に集まってきたんですね。
ウラベ
ウラベ
橋本先生
橋本先生
はい。最初は副鼻腔炎を専門にやる感じではなかったんですけど、いつしか自然とそういう形になって、今に至る感じです。

NEXT:赤坂:「あなたは赤坂の人よ」

1

2

3
akuraku3.jpg

関連記事

  1. 船に乗っていると、自分のいるところが動くので楽しいです/旅人:天野 弘子

  2. 鍼灸師として多職種と連携するということ/穴田 夏希・建部 陽嗣

  3. 鍼を受けてる時間って、こんなに気持ちよくて幸せなんだ(後編)/鍼灸師 中根 一

  4. なんにも面白いことなんか喋られへん/鍼灸師:猪飼 祥夫

  5. 無名のまま死んでいくのが自分にはお似合いだと気付きました/元鍼灸師:土田 健一

  6. 鍼を受けてる時間って、こんなに気持ちよくて幸せなんだ(前編)/鍼灸師 中根 一