前編の記事では、様々な「体験」や「経験」が鍼灸に還元されていく様子から、中根先生の学びの源泉が垣間見えました。
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後編は主に修行時代のお話から「師から学んだこと」について。
どのように出会い、何を学び、どう伝えていくのか?
そして中根先生が鍼灸で表現していく世界とは?
どうぞご覧ください。
「基本を丁寧にしなさい」って言われただけなの
先ほどのお話でも、日頃の言動からも、中根先生はクライアントをお迎えするホスピタリティやデザインが素晴らしいなと思うのですが。
そういったことは自然と遊びから学びとっていた、ということですか?
そういったことは自然と遊びから学びとっていた、ということですか?
スキカラ
中根先生
それもあるけど、空間のデザインっていうの?
「院内の風の流れ」とか「灯りの取り方」なんかについては、岡田明三(おかだ あきぞう/経絡治療学会会長『神宮前鍼療所』院長)先生がよく話を聞かせてくれたんだよね。
「院内の風の流れ」とか「灯りの取り方」なんかについては、岡田明三(おかだ あきぞう/経絡治療学会会長『神宮前鍼療所』院長)先生がよく話を聞かせてくれたんだよね。
中根先生のお師匠さんですね。
スキカラ
中根先生
どっかに書いたことがあるかもしれないんだけど、岡田先生から、具体的な疾患の治療法という形で教わった覚えがあんまりなくて。
それよりもたとえば、患者さんはベッドに横たわるんだから、ワゴンの掃除は1番上のトレーだけじゃなくて、むしろ2段目が大切だとか。そんな話ばっかり覚えてる。
それよりもたとえば、患者さんはベッドに横たわるんだから、ワゴンの掃除は1番上のトレーだけじゃなくて、むしろ2段目が大切だとか。そんな話ばっかり覚えてる。
治療ではなくて。
スキカラ
中根先生
うん。「ちゃんと治療も教えたけど」って、あとで呼び出されちゃったりして(笑)。
だから今日もほら「なんでベッドを上げてるんですか?」っていう質問があったじゃない?
だから今日もほら「なんでベッドを上げてるんですか?」っていう質問があったじゃない?
中根先生の院では、片付けの時に昇降ベッドを全開まで上げていましたね。
スキカラ
中根先生
あれも神宮前鍼療所のルールなの。
鍼療を終えたあとのお掃除で舞った埃が、ベッドに乗らないようにっていう理由でね。
鍼療を終えたあとのお掃除で舞った埃が、ベッドに乗らないようにっていう理由でね。
あー! なるほど。
スキカラ
中根先生
とにかく岡田先生って偉そうぶらないし、サラサラサラッと鍼してさ、別にうーんって気を込めたりしないから、一見してすごさがわからない人も多いと思うんですけど。
すごいですよ。見切りがすごい。
すごいですよ。見切りがすごい。
予後予測みたいな感じですか?
スキカラ
中根先生
うん。それだけじゃなくて施術もね、施術の介入具合。
「俺が治してやる」って感じじゃなくて、「ちゃんと鍼をしておきましたからね」っていう気合いの引き算が絶妙なの。
でね、「名人じゃなきゃできない医療は一般化しない」って仰っていて、臨床でも講演でもフルスペックで「どうだ!すごいでしょ?」って圧倒する感じじゃなくて。
「皆さんも、ちょっと手間さえかければできますよ」って感じ。
「俺が治してやる」って感じじゃなくて、「ちゃんと鍼をしておきましたからね」っていう気合いの引き算が絶妙なの。
でね、「名人じゃなきゃできない医療は一般化しない」って仰っていて、臨床でも講演でもフルスペックで「どうだ!すごいでしょ?」って圧倒する感じじゃなくて。
「皆さんも、ちょっと手間さえかければできますよ」って感じ。
なるほど。
スキカラ
中根先生
いつも「基本を丁寧にしなさい」って言われるだけで、「こうやって治療しなきゃ治せない」と定型化した治療法はおっしゃらないの。
だから、基本的な施術の流れは決まっているんだけど、かなりフレキシブル。
流儀はあるんだけど、流儀にとらわれない自由な発想もあってさ。もっと工夫できるかもって思えるんだよね。
だから、基本的な施術の流れは決まっているんだけど、かなりフレキシブル。
流儀はあるんだけど、流儀にとらわれない自由な発想もあってさ。もっと工夫できるかもって思えるんだよね。
そういった施術方針がわかったうえで弟子入りされたんですか?
それとも、たまたまついた師匠が、そういうフレキシブルな手法だったんですか?
それとも、たまたまついた師匠が、そういうフレキシブルな手法だったんですか?
スキカラ
中根先生
本当にたまたまのご縁だったんだけど、一発でそういう考え方がステキだなって思ったんだ。
「4種類しかないんだよ」って言うのよ。「僕でもできるよ、4種類なら」っつって
ちなみに先生と経絡治療の出会いはどのようなものだったんですか?
スキカラ
中根先生
明治国際医療大学だと、4回生の時に丹後実習※(丹後半島にある実習施設で実際に地元の方に施術を行う実習授業)があるじゃない?
そのときに、なにしていいか全然わかんなくって。
そのときに、なにしていいか全然わかんなくって。
いきなり患者さんを目の前にするわけですものね。
スキカラ
中根先生
でしょ? それで、学校で習ったとおりに問診して検査すると、気が付いたら2時間くらい経ってて(笑)。
しかも東洋医学臨床論の教科書に治療穴は書いてあるけど、どのツボから施術を始めるかなんて書いてないから、どこに1本目の鍼をすれば良いのかわかんない。
しかも東洋医学臨床論の教科書に治療穴は書いてあるけど、どのツボから施術を始めるかなんて書いてないから、どこに1本目の鍼をすれば良いのかわかんない。
わかります。問診して、舌診して、脈を診て、原穴、背部兪穴のツボ反応をとって、さらに西洋医学的な所見をチェックしていたら膨大な時間が…(笑)。
それに全体的な治療の型を習う機会はあまりないですもんね。
それに全体的な治療の型を習う機会はあまりないですもんね。
スキカラ
中根先生
だよね。時計見て、焦ったもの。
どうすんねんって感じです。
スキカラ
中根先生
そう(笑)。
で、そんな僕を見て、クラスメイトの女の子が「中根くん、経絡治療って知ってる?」って。
「何それ?」って聞いたら「経絡治療は治療の配穴が4種類しかないんだよ」って言うの※(脈診により心経を除く4つの陰経の虚を判断し、それを補うのが経絡治療の基本となる)。
「4種類しかないなら、僕でもできそうだ」っつって。
それが経絡治療を知ったきっかけで。
で、そんな僕を見て、クラスメイトの女の子が「中根くん、経絡治療って知ってる?」って。
「何それ?」って聞いたら「経絡治療は治療の配穴が4種類しかないんだよ」って言うの※(脈診により心経を除く4つの陰経の虚を判断し、それを補うのが経絡治療の基本となる)。
「4種類しかないなら、僕でもできそうだ」っつって。
それが経絡治療を知ったきっかけで。
NEXT:「いい鍼灸師になる条件ってなんですか?」って聞いたの