『医道の日本』の仕事はなかなか超えることができない/著述家:山口 智史

放流しても戻って来れる。鍼灸業界の面白さと懐の広さ

編集長になってから、何か心がけていたことはありますか。
ツルタ
ツルタ
山口さん
山口さん
やっぱり僕はコミュニケーションを重視していましたね。社内でも社員の人全員としゃべるぐらい。印刷屋さんとかの業者さんや、先生方も含めて、とにかく「話しかけやすい雰囲気」を作るようにしていました。
新入社員が鍼灸を全く知らない場合に、育成にあたって気をつけていたことはありますか。
ツルタ
ツルタ
山口さん
山口さん
とにかく鍼灸の世界って広いじゃないですか。古典的な鍼灸治療から現代医療、スポーツ、美容、その他にも色々あるので、ひとつも興味ないことはありえないと思うんですよ。国際系もできるから、英語が好きならそれがとっかかりでもいいですし。そういう意味では、自分の好きなものを鍼灸に結びつけていくところから入っていけばいいんじゃないって伝えていました。
山口さんはもともと鍼灸を知らないまま入社されたわけですけど、その中で、興味の幅を広げてやりがいを感じていったんですね。
ツルタ
ツルタ
山口さん
山口さん
僕の年齢が上がっていくについて、ちょっとずつ誌面に出る先生と年齢層が被ってくるんですよ。自分と同世代の先生方と仕事をするようになってきてから、より仕事が楽しくなりました。
休刊に伴い退職されると聞いた時、すぐ山口さんに「ハリトヒト。手伝って」と声をかけさせてもらいました。何とか鍼灸業界につなぎとめておかないとって考えたんです。歴史人物の著作活動が大半かと思いますが、少しでも鍼灸業界に関わっていてほしいので。
ツルタ
ツルタ
山口さん
山口さん
それはほんとにありがたいですね。フリーになって6年、いろいろと本も書かせてもらっていますが、正直なところ『医道の日本』での仕事はまだまだ超えられていないと日々思っています。業界誌の仕事は、やっぱり専門性が高くて、独特な影響力がありましたから。読者の先生方がそれぞれ臨床の現場で、誌面の治療法を時には実践したりもして、その先には、さらに患者さんがいるわけじゃないですか。とてつもなく責任が大きい仕事だったなと……。
鍼灸の業界誌を作って、それを読んだ鍼灸師が治療して、その先で患者さんが元気になってっていうところまで意識していたんですね。
ツルタ
ツルタ
山口さん
山口さん
新卒からずっと携わっていましたからね。編集者としても、鍼灸業界のメディア人としても濃密な経験をさせてもらいました。
改めて『医道の日本』に携わっていた鍼灸のプロ編集者みたいな人たちが、業界から離れたらすごい損失なんだと思いました。
ツルタ
ツルタ
山口さん
山口さん
編集者に限らずですが、いったん鍼灸業界から離れた人も、またどこかでまた鍼灸業界に帰ってくるかもしれないですよね。一時は放流されても帰ってくることができるのが、鍼灸業界の面白さで懐の広さだと思います。ホントいろんな経歴の人がいて、メディア系の人もいるから、力を合わせていろんなできるんじゃないかなと思います。
最後に、メディア人として鍼灸業界の発信について感じている課題や今後について、一言お願いします。
ツルタ
ツルタ
山口さん
山口さん
これは業界から離れてなお思うことですが、身体につらい症状を抱えている人の選択肢に鍼灸が入ってきていない、という現状がまだまだあります。鍼があれば、もしかしたら良くなるかもしれない人たちが、鍼を知らないまま苦しみ続けているとか。それは明らかに社会的損失だし、いかに困っている人に鍼をつなげられるかっていうのが、これからますます大切になるんじゃないかなと。せっかく長くいた業界ですから、鍼灸の普及啓発のお手伝いをこれからもできればなと考えています。

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@yama_writer
【記事担当】
取材 = ゆうすけ・ タキザワ・ツルタ
撮影・編集 = ツルタ
文    = なるみさわ

 

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