(1) 自分を生かす古武術の心得
(2) 病家須知
(3) 全訳 漢辞海
(4) きょうの灸せんせい
(5) 女である時期
自分を生かす古武術の心得
■ 多田 容子(著) ■ 集英社(2008年) |
「この本を読んだら、鍼が刺せるようになった」
鍼灸学校1年生の秋、実技の授業では、手づくりの刺鍼練習台「ぬかまくら」への捻鍼から、自分や授業で実技パートナーとなったクラスメイトの足三里への捻鍼に移行していました。
使用する鍼は、寸6-2番の銀鍼です。
銀でできた鍼は柔らかく、ステンレスの硬い鍼のように簡単には刺せません。
銀鍼で練習をすると、「鍼の先に目が付いているようにカラダの中がわかるようになる」とのことで、実技の練習は銀鍼を使用していました。
その日の調子により、鍼が刺さる日と刺さらない日があります。刺さらないときには、どれだけがんばっても皮膚の表面がチクチクと痛いだけです。むしろがんばると逆効果…。
調子がよく刺さるときの理由もわからないし、調子が悪く刺さらない理由もわかりません。ただ毎日練習を続けていました。
この本をクラスメイトから紹介されたのは、刺鍼という新しい実技の技術向上に夢中なときでした。
本の持ち主は、「この本を読んだ後に鍼が刺せるようになった。本の内容は、手裏剣の投げ方の本」とのこと。
しゅ…手裏剣???
同級生一同、首をかしげました。
その本を読んで鍼が刺せるようになった意味はわかりません。
けど、鍼が刺せるようになるなら何でもしたい私達は、順番に本を借りることにしました。
やがて、わたしにも順番が来て、本を読みました。
会社を辞め作家を目指していた著者の多田容子氏が、居合道の稽古をしながら剣豪小説を書き、甲野善紀氏の手裏剣術にハマっていく話でした。
そして、本を読み終えたとき、試しに鍼を刺してみると、不思議なことにスッと銀鍼が刺せるようになっていました。
鍼が刺せるようになった理由は、古武術ならではのカラダの使い方や、カラダの軸の作り方を、本を読むことで多少なりとも身についたためと考えています。
ステンレスで刺入がしやすいようにと医療用シリコンのついた鍼を使用している方には関係ないかもしれません。
しかし、痛みのない優しい鍼を打ちたい方には、お役に立てる本かも…と感じています(効果を保証するものではありません)。
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「武術の実演つきの動画もあります。武術関係の事柄は、本のみでは分かりづらい部分もございますので、もしご興味があればご参考になさってください」とご本人からコメントをいただきました(ありがとうございます!)