Chapter4 【教員浪人】
あれ? 混乱してきた。わたし、てっきり内原先生は小林三剛先生の「易と東洋医学の思想」に惹かれて、関東鍼灸専門学校に入学したんだと思っていたんですが…。
さまんさ
内原先生
いや、実家の近くだったからだけです(笑)。
え、ほんとに?!(笑)
ツルタ
いまじゃ、アイデンティティのひとつになっていますよね。
入学してから、どんなきっかけで惹かれたんですか?
入学してから、どんなきっかけで惹かれたんですか?
さまんさ
内原先生
えっと…。関東鍼灸専門学校に入ってみたら、そこに易があって(笑)。
易ってすごいなって単純に感動しました。コンピューターに通じるんですよ。
東洋医学+コンピュータ=易! みたいな。
易ってすごいなって単純に感動しました。コンピューターに通じるんですよ。
東洋医学+コンピュータ=易! みたいな。
易もコンピューターもシステムが確立されていますもんね。
さまんさ
内原先生
そう。だから、この学校はすごいと思ったんです。
…でも、当時は教育機関として、すごく残念な部分が多くて。
自分はもともと大学時代に教員を目指していたわけじゃないですか。
…でも、当時は教育機関として、すごく残念な部分が多くて。
自分はもともと大学時代に教員を目指していたわけじゃないですか。
そういえば、そうですね。
ツルタ
内原先生
会社勤めをした経験に加えて、教育に関心があったので、学校に対して「もったいないな」という思いがあったんですね。
そんな時に学校側から「教員をやらないか」という声をかけていただいて。
何かが交差するような…。
そんな時に学校側から「教員をやらないか」という声をかけていただいて。
何かが交差するような…。
わ、ドラマチックですね。教員になるべくしてなった感じがします。
ツルタ
内原先生
…それがですね(汗)。
さっきも言いましたが、わたし、ドロップアウトしちゃうんです。ここで。
さっきも言いましたが、わたし、ドロップアウトしちゃうんです。ここで。
というと?
さまんさ
内原先生
教員養成科の入学試験に落ちるんですよ。
え…。
ツルタ・さまんさ
内原先生
しかも、2年浪人します。
…。
ツルタ・さまんさ
内原先生
単純に実力が不足していたんですよね。
…。
ツルタ・さまんさ
内原先生
あと、育児も重なって。試験に落ちた時期は、上の子供が生まれる直前だったんです。
そ、それは教員養成科に通っている場合じゃなくなりますね。
ツルタ
内原先生
そうなんです。
でもね、その2年間で、関東鍼灸専門学校の広報担当の職員として働きながら、恩師の西岡敏子先生が書かれた「図説難経」を出版するお手伝いをさせていただくことができたんです。
でもね、その2年間で、関東鍼灸専門学校の広報担当の職員として働きながら、恩師の西岡敏子先生が書かれた「図説難経」を出版するお手伝いをさせていただくことができたんです。
あの内原先生のクレジットが入った本ですか?
さまんさ
西岡 由記著「図説 難経」
https://www.kanshinko.ac.jp/school/book.html
あれって、教員になってから作ったんじゃないんですか?
ページ数も文字数も多いですよね(混乱)?
ページ数も文字数も多いですよね(混乱)?
さまんさ
内原先生
同人誌みたいなもの、なのかな…。
浪人中、子どもをおんぶしながら訪問鍼灸で仕事をしていた頃に、PCにかじりついて編集作業をおこないました。
それに専念できたので、良かったです(嬉)。
浪人中、子どもをおんぶしながら訪問鍼灸で仕事をしていた頃に、PCにかじりついて編集作業をおこないました。
それに専念できたので、良かったです(嬉)。
…。
ツルタ・さまんさ
内原先生
で、3年目でやっと教員養成科に入れたんです!
3年目だからこその出会いもあったので、良かったと思っています。
3年目だからこその出会いもあったので、良かったと思っています。
というのは?
ツルタ
内原先生
小林三剛先生の孫娘の方と同期になれたんです(嬉)。
ううん…。内原先生にインタビューするにあたって、謎の人だなって思っていたけど、さらに謎が深まってしまった、かも…。
ツルタ
ね…。
さまんさ
Chapter5 【小林三剛への忠誠】
教員養成科を出たあと、関東鍼灸専門学校に戻るんですよね。
職員として働いていたとはいえ、すごく忠誠心があるな、と感じます。
職員として働いていたとはいえ、すごく忠誠心があるな、と感じます。
ツルタ
内原先生
やはり創立者の小林三剛先生の思想に心酔しているので…。
直接会ったことはないですが、尊敬しています。
関東鍼灸専門学校では、易を東洋医学の中心に据えて、鍼灸の真髄、本道の再構築をするべきと説いています。
直接会ったことはないですが、尊敬しています。
関東鍼灸専門学校では、易を東洋医学の中心に据えて、鍼灸の真髄、本道の再構築をするべきと説いています。
独特ですよね? 珍しいというか。
ツルタ
内原先生
そうですね…。
創立40年以上経つのですが、現状としてあまり鍼灸業界に受け入れられてないというか、浸透していないので…。
それをなんとかしたいという思いがあります。
創立40年以上経つのですが、現状としてあまり鍼灸業界に受け入れられてないというか、浸透していないので…。
それをなんとかしたいという思いがあります。
その「鍼灸の真髄」「本道」とは、いったい何ですか?
ツルタ
内原先生
東洋医学、東洋哲学の根本理論、五術つまり命相卜仙医ですね。
…うーん、それをわかりやすく説明すると?
ツルタ
内原先生
平たく言えば、鍼と艾を使っているから鍼灸ではなくて、東洋的な考え方をもってその道具を使うから、それが固有の鍼灸なんじゃないかってことです。
なるほど…。
ツルタ
内原先生
でも、これは現代的なものを否定するという意味ではなく、わたしたちは「鍼灸の根本は何だろう」という問いを持つ、持ち続ける存在でありたいという感じです。
そういう存在は鍼灸業界のために、あって良いし、なくなってほしくないと思っています。
そういう存在は鍼灸業界のために、あって良いし、なくなってほしくないと思っています。
易や東洋哲学もしっかり学べる環境が特徴ということですかね?
ツルタ
内原先生
そういう鍼灸師を一定数作りたいというのはありますね。
Chapter6 【西野亮廣とSNSおじさん】
内原先生の尊敬する人物といえば、西野亮廣さんがいらっしゃるのかなと。
ツルタ
内原先生
そうですね。よくツイッターでも言及しています。
その影響のせいか、内原先生はSNSでよく見かけるけど、よくわからないことをしているおじさんというイメージなんですよね…。
ツルタ
内原先生
(笑)。そうかもしれないです。
特に2017年の秋頃の…。
ツルタ
内原先生
《「革命のファンファーレ」という本を鍼灸学生に配りたい!》というクラウドファンディングの企画ですね。
そう、それ。クラウドファンディングで本の購入資金を募ったんですか?
ツルタ
内原先生
ええ、本を読んで感銘を受けて、学生たちに読んでほしい!と思ったんです。
自分で買って配っても良かったんですけど、わたしってサラリーマンでしょ?
鍼灸学生に「将来の経営に役立つから読んでみなさい」では、説得力がないと思ったんです。
自分で買って配っても良かったんですけど、わたしってサラリーマンでしょ?
鍼灸学生に「将来の経営に役立つから読んでみなさい」では、説得力がないと思ったんです。
鍼灸学校の教員、西野さん、革命のファンファーレ、クラファン…その流れ、ほんと良くわからない…。
ツルタ
内原先生
ですよね(笑)。
でも、おかげさまで支援が集まって、鍼灸業界ではちょっとした話題になりました(笑)。
でも、おかげさまで支援が集まって、鍼灸業界ではちょっとした話題になりました(笑)。
先生にとって西野さんはどんな存在ですか?
ツルタ
内原先生
ずっと先を走っている人です。なんていうか…遠くに背中がある人ですね。
具体的に言うと…?
ツルタ
内原先生
舗装された道をみんなで歩いているとするでしょ?
でも西野さんは、そこから急に、別の舗装されていない道にバーって走っていっちゃう(笑)。
「えっー!あっちもいけるんだ」っていうことを体現する。そんな感じの人です。
でも西野さんは、そこから急に、別の舗装されていない道にバーって走っていっちゃう(笑)。
「えっー!あっちもいけるんだ」っていうことを体現する。そんな感じの人です。
んー、まだよくわからないです(笑)。突飛なことをする感じ?
ツルタ
内原先生
突飛というよりは、「こういう道もあるよ」というのを提示してくれて…。
実際に地雷原みたいな道なき道を、ドッカンドッカン音を鳴らしながら、気にせず進んでいく人ですね。
実際に地雷原みたいな道なき道を、ドッカンドッカン音を鳴らしながら、気にせず進んでいく人ですね。
んー、なるほど。
内原先生の思う、西野さんの魅力ってなんでしょう?
内原先生の思う、西野さんの魅力ってなんでしょう?
ツルタ
内原先生
とにかくやってみせるところですかね。
初めて読んだ彼の著書は「魔法のコンパス」っていうんですけど…。
その著書に、SNSについても書いてあって。
初めて読んだ彼の著書は「魔法のコンパス」っていうんですけど…。
その著書に、SNSについても書いてあって。
SNS。
ツルタ
内原先生
「SNSは、1対Nじゃなくて1対1のツール」とおっしゃっていて。
彼は「モリで刺しにいく」と表現するんですけど。
彼が自身の独演会をするときに、SNSで自分のことをつぶやいた人を検索して、直接メッセージで独演会のお誘いをして独演会を成功させたことがあったんです。
彼は「モリで刺しにいく」と表現するんですけど。
彼が自身の独演会をするときに、SNSで自分のことをつぶやいた人を検索して、直接メッセージで独演会のお誘いをして独演会を成功させたことがあったんです。
んー…。それは変わってるかも。
ツルタ
内原先生
ええ。その時は「なんだそれ?」くらいに思っていました。
でもそれが、さっきのクラファンの話に繋がるんです。
でもそれが、さっきのクラファンの話に繋がるんです。
ほう。
ツルタ
内原先生
《「革命のファンファーレ」という本を鍼灸学生に配りたい!》という自分の企画を、クラファンの運営会社に申請したところ、「著者=西野さんの許可が必要」ということで、差し戻しされてしまうんです。
無断ではできないってことですね。
ツルタ
内原先生
そう。でも、実際、西野さんの許可をどう取ったら良いのかわかりませんよね。
ほんと困っちゃって。
ほんと困っちゃって。
所属事務所に連絡ですかね? 大変そうですね。
ツルタ
内原先生
そう。でもね、ふとSNSのことを思い出したんです。
彼はどうやらエゴサーチ(※SNS上で自分の名前や会社名などを検索して、噂をしている人を探すこと)をしているらしいので…。
ツイッターのハッシュタグに彼の名前をつけて「クラファンの許可がほしい」とつぶやいたら、なんと1分後にご本人から「OKです」って返ってきたんです!
彼はどうやらエゴサーチ(※SNS上で自分の名前や会社名などを検索して、噂をしている人を探すこと)をしているらしいので…。
ツイッターのハッシュタグに彼の名前をつけて「クラファンの許可がほしい」とつぶやいたら、なんと1分後にご本人から「OKです」って返ってきたんです!
おー! それはすごいエピソードですね!
ツルタ
内原先生
もう衝撃でしたね。彼は本当に「1対1のSNS」を実践していたわけですよ。
そして、ツイッターで本人のOKをいただけたおかげで、クラファンの運営会社からも許可が出ました。
そして、ツイッターで本人のOKをいただけたおかげで、クラファンの運営会社からも許可が出ました。
それって強烈な成功体験ですよね。
ツルタ
内原先生
そうなんです。SNSっていろんなことができるんだなって実感しましたね。
これが先生の「とにかくやってみる」姿に通じるのかな…。
ツルタ
内原先生
そうですね。出発点かもしれません。
西野さんが変な方にガサガサ入っていくのを見て、「あっちに行っていいんだ! 自分も行ってみよう!」という影響を受けたと思います。
西野さんが変な方にガサガサ入っていくのを見て、「あっちに行っていいんだ! 自分も行ってみよう!」という影響を受けたと思います。
今のお話を聞いて、「ただただ変なことをしているおじさん」から、「SNSで不可能を可能にするおじさん」にイメージアップしましたよ(笑)。
ツルタ
内原先生
それは嬉しいですね(笑)。
ところで、彼はあちこちで嫌われていませんか?
ツルタ
内原先生
あー、はい。うちの奥さんもめっちゃ嫌いですね(笑)。
西野の「に」の字も言うな!くらいの(笑)。
西野の「に」の字も言うな!くらいの(笑)。
ぼくは先ほどのクラファンの話を聞いたら、西野さんのことを好きになりそうでしたよ(笑)。
ツルタ
内原先生
そうですね…。でも、実はわたし、彼個人に興味がないというか…(笑)。
え!(あんなに好きそうなのに?!)
ツルタ・さまんさ
内原先生
一時期は彼を学校にお呼びして、講演していただこうと考えたこともあったんですけど、そうじゃないなって思っています。
彼個人ではなく…彼の魅力はその考え方や行動にあるということですか?
ツルタ
内原先生
そうですね、魅力は道無き道を進むところなので…。
それをいかに自分の行動に落とし込めるか、ですね。
それをいかに自分の行動に落とし込めるか、ですね。
なんだか「教育とは?」に通じそうなお話に感じますね…。
ツルタ
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